ポイント解説
主権国家は16世紀の西ヨーロッパ諸国で形成されました。この主権国家体制が全世界に広がり、現代の世界が成り立っています。初期の主権国家は、国王が主権を持つ絶対王政の形態でした。主権国家の形成が進むきっかけともなったイタリア戦争では、神聖ローマ皇帝カール5世とフランス国王フランソワ1世が激しく戦いました。
1.主権国家とは
・明確な支配領域(国土)を有する
・確立した主権が存在する
※主権:領域内の人々に対し行使される強制的な権力
→国内では最高権力
対外的には独立性がある
2.主権国家体制
・近世ヨーロッパで成立
・主権国家が相互に対立・強調して成り立つ国際関係
・イタリア戦争(1494~1559年)を通して形成
※国王に権力が集中
→1648年、ウェストファリア条約で確立
3.絶対王政
・絶対的な権力をもつ国王が統治する政治体制
→国王が主権者となり主権国家を形成
・常備軍:平時でも軍隊を設置
→国王のために戦う
・官僚制:国王の手足となり王権を支えた
4.生産方式の変化
①問屋制
・商人が原材料や道具を貸す
→職人・農民が自宅で商品を生産
→商人が買い取る
②マニュファクチュア(工場制手工業)
・資本家が工場を建設
→工場に労働者を集める
→分業・協業で生産
※16世紀後半、イギリスの毛織物生産で始まった
5.イタリア戦争:1494~1559年
・神聖ローマ帝国(ハプスブルク家)VSフランス(ヴァロワ朝)
①始まり
・1494年、フランス国王がイタリアに侵入
→神聖ローマ皇帝が対抗、戦争へ
※イタリアにおける覇権をめぐる争い
・イギリスなども参戦
②戦争の激化
・カルロス1世とフランソワ1世の激しい戦い
ⅰ.カルロス1世について
・ハプスブルク家のスペイン王
・1519年、神聖ローマ皇帝に選出
→皇帝としてはカール5世
※ハプスブルク家はオーストリアの王家
→15~19世紀、神聖ローマ皇帝位をほぼ独占
ⅱ.フランソワ1世について
・フランス(ヴァロワ朝)国王
・神聖ローマ皇帝選挙でカルロス1世(カール5世)に敗れる
→カール5世と激しく戦う
③戦争の終結
カトー=カンブレジ条約:1559年
・フランスはイタリア支配を放棄
・イギリスはフランスに領有していたカレーを失う
※ハプスブルク家とフランス王家の対立はその後も続く