ポイント解説
1517年、ドイツでマルティン・ルターにより宗教改革が始まり、この過程でプロテスタントが成立しました。ドイツの宗教改革は1555年のアウグスブルクの和議で一応の終結となりました。一方、スイスではカルヴァンが宗教改革を進め、勤労を重視し蓄財を容認したことから、おもに商工業者に普及しました。
1.始まり:ドイツ
①マルティン・ルターの宗教改革
・ヴィッテンベルク大学神学教授
ⅰ.九十五カ条の論題
・1517年発表
・カトリック教会発行の贖宥状(免罪符)を批判
※贖宥状:教皇レオ10世が発行
→サン=ピエトロ聖堂の新築資金調達のため
ⅱ.ヴォルムス帝国議会
・1521年、皇帝カール5世に呼び出される
→ルターは自説を撤回せず
ⅲ.『新約聖書』のドイツ語訳
・1522年、初版本を発行
※ザクセン選帝侯フリードリヒの保護
②ミュンツァー
・ドイツの宗教改革者
・ドイツ農民戦争(1524~25年)を指導
→処刑される
※ルターは農民蜂起に同情的。のち批判
③プロテスタントの成立
・1529年、カール5世がルター派を禁止
←ルター派の抗議:プロテスタントの由来
※1530年、シュマルカルデン同盟結成
…新教派諸侯と帝国都市の同盟:カール五世に抵抗
④シュマルカルデン戦争:1546~47年
・シュマルカルデン同盟VS皇帝派
⑤アウグスブルクの和議:1555年
ⅰ.ルター派を容認
※カルヴァン派は認めず
ⅱ.領邦教会制の確立
・領邦ごとに諸侯がカトリック派かルター派かを選択
※個人の信仰の自由は認められず
ⅲ.ドイツ宗教改革の終結
2.スイスの宗教改革
①ツヴィングリ
・1523年、スイスで宗教改革を開始
・1531年、カトリック側との抗争で戦死
②カルヴァン
・1536年、『キリスト教綱要』刊行
←福音主義にもとづく
・1541年、ジュネーヴで宗教改革開始
③カルヴァン派の形成と特徴
ⅰ.予定説
・魂の救済は神によりあらかじめ定められている、とする
ⅱ.長老主義
・牧師と信者が長老を選ぶ
→長老が教会を管理・運営
ⅲ.商工業者に普及
・天職としての勤労を重視
・勤労の結果としての蓄財を容認
ⅳ.各国に普及
↓各国でのカルヴァン派の呼称
・イギリス:ピューリタン(清教徒)
・フランス:ユグノー
漢字の読み方
・贖宥状:しょくゆうじょう
・免罪符:めんざいふ
・福音主義:ふくいんしゅぎ