ポイント解説
15世紀以降、さまざまな背景のなかで大航海時代が始まり、ポルトガル・スペインが中心となって新航路の開拓を進めました。「新大陸」の文明はスペインにより滅ぼされ、さらに植民地化とされてしまいました。大航海時代によって世界の一体化や資本主義経済の発達が進んだ一方、ヨーロッパに商業革命や価格革命などの大きな変化をもたらしました。
1.大航海時代とは
・時期:15~17世紀
・ヨーロッパ人がインド・アメリカ大陸への新航路を開拓
→世界に進出
①背景・前提
ⅰ.文化的背景
・マルコ=ポーロ『世界の記述(東方見聞録)』の影響
ⅱ.技術的背景
・羅針盤の改良
・造船技術の発達:快速帆船の普及
→遠洋航海が可能に
ⅲ.政治・経済的背景
・14世紀~、肉食の普及
→香辛料(胡椒など)の需要増
・オスマン帝国の地中海進出
→東方貿易の不安定化
→新航路開拓の必要性
2.インド航路の開拓
・アフリカ~アジア方面
※ポルトガルが中心に開拓
①「航海王子」エンリケ
・アフリカ西岸の探検を奨励
②バルトロメウ=ディアス
・1488年、アフリカ南端の喜望峰に到達
③ヴァスコ=ダ=ガマ
・1498年、インド西岸のカリカットに到達
※インド航路が開通
3.大西洋航路
・南北アメリカ大陸方面
※スペイン(国王)中心、各国の船乗りによる
①コロンブスの新大陸到達
・イタリアのジェノヴァ出身
・スペイン国王イサベルの援助を得る
・大西洋に向かいインドをめざす
←トスカネリの地球球体説を信じた
・1492年、サンサルバドル島へ到達
・その後、アメリカ大陸に上陸
※コロンブスはインドだと思い込む
→先住民をインディオ(インディアン)と呼んだ
②トルデシリャス条約:1494年
・ポルトガル・スペインが締結
・内容:海外領土分割条約
③カブラルのブラジル漂着
・ポルトガル人
・1500年、ブラジル漂着
→ブラジルがポルトガル領に
※トルデシリャス条約にもとづく
④アメリゴ=ヴェスプッチと新大陸
・イタリアのフィレンツェ出身
・探検の結果、インドではなく「新大陸」と確信
→「アメリカ」の名称になる
⑤マゼラン(マガリャンイス)の航海
・マゼラン海峡を通る
※南アメリカ大陸南端地域
・太平洋を航海
・フィリピン到達
※マゼラン殺害される
・世界周航:1522年
マゼランの部下が初の世界一周を達成
※地球球体説を立証
4.ラテンアメリカの植民地化
①征服者(コンキスタドール)の活動
・スペインによるラテンアメリカの征服
ⅰ.コルテス
・1521年、アステカ王国を滅ぼす
(メキシコ征服)
※首都:テノチティトラン
ⅱ.ピサロ
・1533年、インカ帝国を滅ぼす
(ペルー征服)
②エンコミエンダ制
・スペインがラテンアメリカに適用した土地制度
・先住民を酷使(鉱山・プランテーション)
※ラス=カサス:先住民救済に尽力した聖職者
③先住民の激減
・酷使と伝染病が原因
・労働力不足
→アフリカから黒人奴隷を運ぶ
5.大航海時代の影響
・世界の一体化が始まる
・資本主義経済の発達をうながす
①商業革命
・ヨーロッパの遠隔地貿易が変化
→中心が地中海から大西洋沿岸へ
②価格革命
・ヨーロッパの物価騰貴
←南米ポトシ銀山から大量の銀が流入
・固定地代収入で生活する領主に打撃
③農場領主制(グーツヘルシャフト)
・16世紀以降、エルベ川以東のドイツ諸地域でみられた農業経営形態
・西ヨーロッパ向けの輸出用穀物を栽培
・再版農奴制:領主が農民支配を強化
※東西ヨーロッパの分業体制
→西は商工業、東は農業
漢字の読み方
・再版農奴制:さいはんのうどせい