I.朝鮮問題
0.朝鮮国内の対立勢力
①大院君
・国王高宗の王父。攘夷派
②閔氏一族
・高宗の外戚 ※王妃は閔妃
・開国派(親日派)。開国後、朝鮮国内で台頭
1.壬午軍乱(壬午事変):1882年
①概要
・大院君が首都漢城で反乱
⇒軍隊もこれを支持、民衆が日本公使館を包囲
②結果
・反乱そのものは失敗
・閔氏一族は清国に接近し、日本から離れる
2.甲申事変:1884年
①クーデタ
・独立党:金玉均らの親日改革派
・日本と結んで朝鮮の近代化を目指す
⇒清仏戦争での清の敗北を好機と判断し、漢城でクーデタを起こす
※日本公使館も支援
①結果
・清国軍が鎮圧し、クーデタは失敗
※日清関係は悪化
②天津条約:1885年
・日清間で締結
ⅰ.全権
・日本:伊藤博文
・清:李鴻章
ⅱ.内容
・日清両国の朝鮮からの撤兵
・今後朝鮮に出兵する際は、互いに事前通告すること
3.脱亜論:1885年
・福沢諭吉が『時事新報』で発表
・脱亜入欧を主張
II.日清戦争
1.日本の軍事力増強
①陸軍参謀本部の新設:1878年
・統帥部を強化
②軍人勅諭:1882年
・大元帥である天皇への忠節を強調
・軍人の政治関与を戒め
③師団の創設:1888年
・陸軍の編成を鎮台から改める
④海軍軍令部の新設:1893年
2.防穀令事件
防穀令:1889~90年 ※朝鮮の法令
・朝鮮地方官が凶作を理由に大豆・米の対日輸出を禁止
⇒日本政府は同法令を廃止させ、禁輸中の損害賠償を要求
※1893年決着
3.甲午農民戦争(東学(党)の乱)
①反乱の始まり:1894年
・農民が減税と排日を要求して反乱を起こす
※東学という民族宗教の信徒が中心
②朝鮮政府と清国の動き
・鎮圧のため清国に出兵を要請
⇒清国は天津条約の規定に基づき日本に出兵を通告
※日本も対抗して朝鮮に出兵
4.日清戦争:1894~95年
※開戦直前に日英通商航海条約調印
イギリスは日本を支持
①戦争の経過
ⅰ.豊島沖海戦:1894年7月
・日本が勝利
ⅱ.宣戦布告:8月
・清に宣戦布告
※政党は政府批判を中止
・帝国議会(第七議会、広島)は予算・法律案を全て承認
ⅲ.黄海海戦:9月
・清の北洋艦隊を撃破
ⅳ.遼東半島(旅順・大連)を占領:11月
ⅴ.威海衛を占領:1895年2月
・山東半島北端の港
※清の北洋艦隊の基地
②講和条約
・下関条約:1895年4月調印
ⅰ.全権
・日本:伊藤博文、陸奥宗光
・清:李鴻章
ⅱ.内容
・清国は朝鮮の独立を認める(清国の宗主権を否定)
・清国は遼東半島、台湾、澎湖諸島を日本に割譲する
・清国は賠償金2億両(約3億1000万円)を日本に支払う
※日本は賠償金の大部分を軍事費にあてる
・清国は沙市、重慶、蘇州、杭州の4港を開く
5.三国干渉
※1895年、下関条約調印直後
①内容
・ロシアがフランス・ドイツとともに、遼東半島の清への返還を日本に要求
②日本の対応
・対抗する力のない日本は要求を受け入れる
※清から還付金3000万両(約5000万円)を受ける
・国内で臥薪嘗胆を標語にロシアへの対抗心が高まる
6.台湾統治:1895~1945年
①台湾総督府の設置:1895年
・台湾統治の官庁
・初代総督:海軍軍令部長樺山資紀
②台湾統治
・台湾総督児玉源太郎のもと、後藤新平が民政に力を入れる(1898年~)
・土地調査事業:土地制度の近代化を行う
・産業の振興:台湾銀行、台湾製糖会社の建設
7.日清戦争後の朝鮮
・1897年、国号を大韓帝国(韓国)と改める
※国王は皇帝となる