政治経済:財政、租税(概略)

1.財政の役割

財政とは…政府の行う経済活動のこと

 ※以下の①~③の機能がある

 

①資源配分の調整

・民間では十分に供給されない公共財を供給する

(需要はあるが(儲からないので)供給がないもの)

 ※市場の失敗への対応といえる

例)公共財社会資本(道路・港湾・上下水道など)、社会保障(年金・医療・介護など)

 

所得の再分配

・所得の格差や不平等を是正する

・国民の生存権を保障する

・以下のⅰ・ⅱで所得の再分配を行う

 

ⅰ.累進課税制度

所得税などで実施。高所得者に高い所得税率を設定

 

ⅱ.社会保障制度

・低所得者に給付を行う。国民の生存権を保障する

 

※収入の多い人に多くの税金を納めてもらい、収入の少ない人に分配する。それにより、格差が小さくなる

 

③経済の安定化(景気の安定化)

ⅰ.フィスカルポリシー

・景気安定化のための財政政策

・増税・減税、公共事業などへの支出の増減を行う

 

※公共事業不況時は増やし好況時は減らす

 税金不況時は減税好況時は増税

 

ⅱ.ビルト・イン・スタビライザー

累進課税制度社会保障制度による、景気の自動安定化装置

・不況時は税収減・社会保障増、好況時は税収増・社会保障減となる

 

2.日本の予算制度

一般会計(一般会計予算)

・政府の通常の活動にともなう予算

・いわゆる「国の予算」

歳入と歳出で構成

・ここ数年は90~100兆円の規模

 

ⅰ.歳出

社会保障関係費:約30%

国債費:約25%

 ※国債の返済、利子の支払い

地方財政費:約15~20%

 

ⅱ.歳入

租税・印紙収入

公債金国債による歳入。借金

 

特別会計

・国が特定の目的の事業を特定の資金で行うための予算

 

財政投融資計画

・一般会計を補充する

・かつては郵便貯金・年金を運用していた

 ※「第2の予算」と呼ばれた

・2001年度からは、財投債・財投機関債の発行により、市場から資金を調達

 

3.日本の租税制度

①税金の分類

国税…納税先が政府である税

地方税…納税先が地方公共団体である税

直接税…納税者と担税者が同じ税

間接税…納税者と担税者が異なる税

※納税者=納税義務者。税を納める手続きをする人

 担税者=税を負担する者。お金を出す人

 

②税金の種類

ⅰ.国税で直接税

所得税法人税相続税など

所得税は累進課税を採用

 

ⅱ.国税で間接税

消費税関税、酒税、たばこ税、揮発油税など

※景気変動による影響を受けにくい

 逆進性:低所得者の負担が大きくなる

 

ⅲ.地方税で直接税

・住民税、固定資産税、事業税、自動車税など

 

ⅳ.地方税で間接税

・地方消費税、ゴルフ場利用税、入湯税など

  

4.財政改革の課題

・戦後日本の財政の原則

赤字国債の禁止直接税中心主義、累進課税制度など

 

赤字国債(特例国債)の大量発行

・1973年の第一次石油危機による不況がきっかけ

・一般会計の歳入が不足し、赤字国債の発行に踏み切る

・以降、赤字国債の発行が常態化

※1990~93年度は赤字国債の発行なし(バブル景気による税収増)

 

国債依存度の増大

・歳入に占める国債発行額(公債金)の割合が増加

 

財政の硬直化

・歳出に占める国債費の割合が高くなり、財政の弾力的な運用が困難になること

 

プライマリーバランス

・歳入・歳出から、国債に関する費目を除いた収支

・これが均衡または黒字であれば、借金に頼らない財政といえる

 ※赤字であれば国債を発行 

・現在は赤字