今回の単元について、文章で補足説明しています。
長くなってしまいましたが、理解が進むにつれてサクサク読めると思います。
1.経済主体
経済主体には、企業・家計・政府の3つがあります。教科書や資料集の図を見るとわかりますが、商品や労働力、貨幣などが互いに交換されています。
特徴は、互いに貨幣が必ず動いているということです。
税金(租税)、賃金(給料)、代金など、
さまざまに名前を変えて、お金が交換されています。
こうやって経済が循環しているのですね。
ちなみに、
財は形のある商品。例えば野菜、自動車、文房具など
サービスは形のない商品。例えば散髪、塾、医療などです。
2.市場メカニズム
市場メカニズムとは、簡潔にいえば市場価格を均衡価格に導くしくみです。
具体的には、
①価格(市場価格)に応じて需要・供給が決まる
②売れ残り・品不足に応じて価格が変動する
③その価格に応じてまた需要・供給も変動する
④やがて売れ残り・品不足もなくなっていく
ことです
売れ残り・品不足がないということは、需要と供給がぴったり一致したということでもあり、このときの市場価格を特に均衡価格といいます。
実際にお店で販売されている価格は全て市場価格です。さらに市場価格のなかでも、需要と供給が一致する場合を均衡価格といいます。
3.需給曲線を読み取る
Aが需要曲線、
Bが供給曲線です。
必ずそうなります。
グラフを読み取るときは、必ず価格を先に見ましょう。「〇〇円のとき、需要(供給)は△個」といった具合です。
では、このグラフをもとにケーススタディです。
①価格が高いとき(100円のとき)
100円のとき、需要はいくつでしょうか。
グラフA(需要曲線)において、
y座標が100(円)のとき、
x座標は20(個)です。
ですから、需要は20しかありません。
多くの人は「高いから買いたくない」と考えますね。
一方、供給はいくつでしょうか。
グラフB(供給曲線)において、
y座標が100(円)のとき、
x座標は50(個)です。
ですから、供給は50となります。
「高い商品だから、多く売って儲けたい」と考えるのです。
以上の通り、
価格が100円のとき、
需要が20、
供給が50
ですので、
需要<供給となり、
供給超過です。
30個売れ残ります。
そうなると、価格は下落します。スーパーでも売れ残った弁当などは閉店時間が近くなると値引きされますね。
そして、価格が安くなると、需要は増加します。
②価格が安いとき(40円のとき)
100円だと売れ残ってしまったので、
40円まで値下がりしました。
今度はどうなるでしょうか。
グラフA(需要曲線)において、
y座標が40(円)のとき、
x座標は50(個)です。
ですから、需要は50もあります。
多くの人は「安いから買いたい」と考えますね。
バーゲンセールに多くのお客さんが集まるのと一緒です。
一方、供給はいくつでしょうか。
グラフB(供給曲線)において、
y座標が40(円)のとき、
x座標は20(個)です。
ですから、供給は20だけになります。
売り手は「安い商品だから、あまり儲からない」と考えるので、たくさん売ろうとはしなくなるのです。
以上の通り、
価格が40円のとき、
需要が50、
供給が20
ですので、
需要>供給となり、
需要超過です。
30個品不足です。
30人のお客さんが商品を買えません。
こういう状況では、価格は上昇します。
ネットオークションなどでも、出品された品物に対して多くの人が買いたいと思えば、価格はどんどん上がっていきますね。
やがて、供給も増加します。
オークションでいうなら、「〇〇という商品が儲かるらしいぞ」と、多くの人が出品しするようになります。
このようにして、
①の
・価格が高い
→需要<供給
→売れ残り
→価格が下がる
(→需要が増える)
と、
②の
・価格が安い
→需要>供給
→品不足
→価格が上がる
(→供給が増える)
といったことをくり返していきます。
その過程で、
価格の自動調整機能がはたらき、
価格が変動し、
それにともなって需要・供給も変動します。
やがて供給超過・需要超過ともに
解消されるのです。
これは、
アダム・スミスの神の「見えざる手」
のはたらきでもあります。
なお、このグラフでは、
価格が60円になったときに
需要・供給とも35個となり
品不足も売れ残りもなくなります。
したがって、この場合は
60円が均衡価格となります。
余談ですが、「バーゲンセールでは売り手は安い価格の商品をたくさん売ろうとしているじゃないか(安いなら供給は減るはずなのに)」と思うかもしれませんが、あれは、「価格を安くすればたくさんの需要があるだろう」ということで、売り手が先回りして商品をたくさん用意しているわけです。
4.市場の失敗
市場の失敗とは、市場メカニズムが機能しない状態のことです。そのため、需要と供給の関係が機能しない・適用されません。つまり、需要が少ないからといって価格がさほど(あるいはまったく)下がりません。
あるいは、そもそも市場が存在しない場合もあります。
市場の失敗には、以下の①~③があります。
①独占・寡占
独占とは、1つまたは少数の企業が市場を支配している状態。
寡占とは、少数の企業が市場を支配している状態です。
独占・寡占状態の市場を独占市場とか寡占市場といい、こういう市場の価格は独占価格・寡占価格といわれます。
独占(寡占)市場では、価格競争がほとんどなくなり、需要と供給の関係による価格変動もほとんどありません。独占(寡占)価格は値下がりしにくく、多数の企業が存在していたときの市場価格よりも高くなります。
独占価格(寡占価格)のなかでも、管理価格というのがあります。これは、少数の企業が(水面下で)協調して決定される価格のことです。
例えば、コンビニ業界は独占(寡占)が成立しています。
セブンイレブンでもローソンでもファミリーマートでも、ペットボトルの飲み物の価格は同じです。コーラは140円+消費税、といった感じで。大型スーパーやドラッグストアでは88円とか98円で売っているからといって、値下げ競争には参加しませんね。コンビニどうし、140円で横並びです。これが管理価格です。
このような管理価格は、プライスリーダー(価格先導者)となった企業がまず価格を設定し、他の企業がそれを真似て同じような価格を設定し、そのまま固定的な価格となったものです。
おそらく最初にどこかのコンビニが140円にしたのを見て、他のコンビニもそれを真似た、ということが推測できます(実際はどうなのかわかりませんが)。
価格は下がりにくいですから、価格の下方硬直性が見られます。
なぜ価格が下がりにくいのかというと、売り手が強気に出られるから、といったことがあげられます。消費者にとっては選択肢が少ないので、売り手の企業側は「嫌なら買うな」と言えるのです。消費者は仕方ないから高くても買う、ということになります。
②外部経済・外部不経済
市場内部の活動が市場外部の第三者(本来無関係の人)に影響を及ぼす場合、あるいは、市場外部の活動が市場内部に影響を与える場合です。
よい影響を及ぼす場合を外部経済、悪い影響を及ぼす場合を外部不経済(外部負経済でもOK)といいます。
外部経済は、自分は何もしていないけど得した、「棚からぼたもち」のようなことです。金銭的に得した、気分的に得した、どちらも外部経済です。
例えば、商店を経営していて、お客さんが少なかったが、近所に駅ができて、乗降客がたくさんお店を訪れるようになって売上げが上がった、といったケースは外部経済です。何の営業努力もしていないのに得しています。
外部不経済はその反対で、自分は何もしていないのに損をした。とばっちりを受けた状態です。公害は外部不経済の典型例です。近所に工場ができて、排出される煙のせいで洗濯物が干せないとか健康状態が悪化したといったケースですね。
「あいつのせいで自分まで怒られた」というのも外部不経済です。
③市場自体が成立・存在しない場合
公共財とは、一般道路・公園・下水道・警察・消防などがありますが、これらは、「需要はあるが民間企業からの供給がない」です。一般道路は無料で利用できますが、それだと企業は儲からないので、道路を作ろうとしないですね。道路は生活に必要なのに、作ってくれないと困る。
こういう場合は、政府が税金を徴収し、そのお金を企業に支払うことで工事を依頼し、公共事業として道路などを供給しています。