戦後の日本経済の大まかな流れは次の通りです
1.戦後復興期:1945~55年
2.高度経済成長期:1955~73年
3.安定成長期:1973~91年
※うち、86~91年:バブル経済
4.バブル崩壊後の日本経済
①平成不況:1991~2002年
②戦後最長の好景気2002~08年
※2008年、世界同時不況
戦後日本経済のあゆみ
0.終戦:1945(昭和20)年
①連合国軍総司令部(GHQ)の占領と民主化政策
・労働者の権利保障:労働三権の確立
※団結権、団体交渉権、団体行動権
・農地改革:農村の民主化。自作農の創設
・財閥解体:日本の軍国主義を経済面で支えていた財閥を分割
※持株会社整理委員会を設立、過度経済力集中排除法を制定して実施
→1947年、独占禁止法を制定:財閥の復活防止、企業間の健全な競争を促進
1.日本経済の復興:1945~1955年
①日本政府による経済復興政策
・傾斜生産方式(1946年~)
…限られた資源を石炭・鉄鋼など基幹産業に重点的に投入
・復興金融金庫
…必要な資金を供給する政府機関。復金債を発行して資金を調達
※通貨量の増加で復金インフレの発生
②GHQ(アメリカ政府)の指令
ⅰ.経済安定九原則
・1949年、インフレ収束を目的として指令
ⅱ.ドッジ・ライン:1949年
・超均衡予算
・単一為替レート(1ドル=360円)の設定
※インフレは終息したが、デフレとなる
→安定恐慌が発生(1950年)
ⅲ.シャウプ勧告
・直接税中心の制度確立を勧告
・日本は税制の近代化を進める
・所得税の累進課税制度を導入
③朝鮮特需(特需景気)
・1950年勃発の朝鮮戦争を契機
→繊維・鉄鋼の輸出が拡大
・好景気となり復興が進む
3.高度経済成長期:1955~1973年
※相次ぐ好景気
・神武景気:1954~57年
・岩戸景気:1958~61年
・オリンピック景気:1962~64年
・いざなぎ景気:1965~70年
→年平均約10%の実質経済成長率を実現
①1950年代の日本経済
※復興から高度経済成長へ
・1956年の『経済白書』
→「もはや戦後ではない」と記述
②1960年代の日本経済:先進国・経済大国への歩み
・1960年、所得倍増計画
…国民所得を10年間で2倍にする計画
※池田勇人内閣
・1963年、GATT11条国へ移行
※貿易の自由化
・1964年、IMF8条国へ移行
※為替の自由化
・1964年、OECD(経済協力開発機構)に加盟
※先進工業国の経済協議機関
(「先進国クラブ」みたいなもの)
・1967年、資本の自由化
・1968年、GNPが資本主義国で第2位に
③耐久消費財の普及
・三種の神器:白黒テレビ、電気冷蔵庫、電気洗濯機
・3C(新三種の神器):カラーテレビ、クーラー、自動車
4.1970年代の日本経済
①ニクソン・ショック
・1971年8月、アメリカはドルと金との交換停止を発表
→1971年12月、スミソニアン協定:円の対ドル切り上げなど(1ドル=308円)
→1973年2月~、変動為替相場制に移行
②高度経済成長の終焉
・1973年10月、第1次石油危機の発生:原油価格が4倍以上に
→各国は不況下のインフレ(スタグフレーション)に陥る
・1974年、日本は戦後初のマイナス成長
③日本の経済構造の変化
・経済のソフト化、経済のサービス化が進む
5.1980年代の日本経済
①安定成長
・日本は比較的バランスのとれた経済成長を実現
・大量輸出により、アメリカなど各国との貿易摩擦が深刻化
②プラザ合意からバブル経済へ
ⅰ.プラザ合意
・1985年、各国がドル安へ誘導することに合意
→円高ドル安が急激に進み、日本は円高不況となる
ⅱ.円高不況への対応
・公定歩合の引き下げ:余剰資金が株や土地へ
→バブル経済の発生
③日米貿易摩擦と対応
・1989年、日米構造協議
…アメリカは日本に内需拡大などを求める
・1993年、日米包括経済協議
…アメリカは日本に内需拡大や市場開放を求める
④財政再建のための取り組み
・新自由主義の推進(小さな政府)
→規制緩和、民営化など
例)民営化:国鉄、電電公社、専売公社
6.1990年代の日本経済
・1990年代初め、バブル経済の崩壊
→平成不況:深刻な不景気に
※「失われた10年」
7.2000年以降の日本経済
①小泉純一郎内閣(2001~06年)の政策
・構造改革:小さな政府をめざす(新自由主義)
・三位一体改革の推進
※国から地方への税源移譲、補助金の削減、地方交付税の見直し
・戦後最長の好景気(2002~08年)
※「実感なき景気回復」
②世界金融危機
・2008年、アメリカから発生
・世界的な景気後退。日本もマイナス成長