ざっくり理科3年

水溶液とイオン、電気分解(ざっくり)

ポイント

すでに学習した水溶液や電気分解の話をよりくわしく学びます。

電気を通す水溶液は、実は陽イオン陰イオンに分かれていること。
電気分解は、その水溶液中の陽イオン・陰イオンが原子にもどること。
そして、それらのカギをにぎるのは、電子の増減です。

1.原子の構造とイオン

原子の構造

原子核
・原子の中心にある
(プラス)の電気をもっている

※原子核は、陽子(の電気をもつ)と中性子(電気をもたない)からできている

ⅱ.電子
・原子核のまわりにある
(マイナス)の電気をもっている

原子全体では+と-が打ち消しあい、電気をもたない

↓原子の構造

イオン

・電気を帯びた原子のこと

ⅰ.陽イオン
・原子が電子を失いの電気を帯びたもの

ⅱ.陰イオン
・原子が電子を受け取りの電気を帯びたもの

↓図:イオンのでき方
※原子によって、陽イオンになるもの、陰イオンになるもの、失う電子の数、受け取る電子の数は決まっている

イオンの例

ⅰ.陽イオン
a.水素イオン
・水素原子が電子を1個失い、+の電気を帯びたもの
・イオン式:

ⅱ.銅イオン
・銅原子が電子を2個失い、+の電気を帯びたもの
・イオン式:Cu2+

ⅱ.陰イオン
a.水酸化物イオン
・酸素原子と水素原子が結合した状態で電子を1個受け取り、-の電気を帯びたもの
・イオン式:

b.塩化物イオン
※「塩素イオン」とは言わないので注意
・塩素原子が電子を1個受け取り、-の電気を帯びたもの
・イオン式:Cl

c.硫酸イオン
・硫黄原子1個と酸素原子4個が結合した状態で電子を2個受け取り、-の電気を帯びたもの
・イオン式:SO2-

2.水溶液とイオン

電解質

・水に溶けるとイオンになり電流が流れる物質
電離する物質)
例:塩化ナトリウム(食塩)、塩化水素水酸化ナトリウムなど

電離…電解質が水に溶けて、陽イオンと陰イオンに分かれること

↓水溶液とイオンのようす

② 電離の例と電離式

ⅰ.塩化ナトリウム水溶液(食塩水)
・電離式:NaCl  Na + Cl
・意味:電解質の塩化ナトリウム(食塩)は、水に溶けて電離し、ナトリウムイオンNa塩化物イオンClに分離した
(塩化ナトリウム水溶液には、Na+Clがふくまれている)

ⅱ.水酸化ナトリウム水溶液
・電離式:NaOH  Na + OH
・意味:電解質の水酸化ナトリウムは、水に溶けて電離し、ナトリウムイオンNa水酸化物イオンOHに分離した
(水酸化ナトリウム水溶液には、Na+OHがふくまれている)

ⅲ.塩酸
・電離式:HCl  H + Cl
・意味:電解質の塩化水素は、水に溶けて電離し、水素イオンH塩化物イオンClに分離した
(塩酸(塩化水素水溶液)には、H+Clがふくまれている)

塩酸は、塩化水素が水に溶けたもの(塩化水素の水溶液)

非電解質

・水に溶けても電離せず(イオンにならず)、電流が流れない物質
例:砂糖、エタノールなど

3.電気分解とイオン

①電気分解のしくみ

ⅰ.これまでに習った内容
・塩酸の電気分解の化学反応式は
 2HCl → H + Cl

ⅱ.電気分解で実際に起こっていること
↓図:塩酸の電気分解と電子・イオン

上の図の解説
・塩酸は電解質なので、水溶液中では陽イオンの水素イオンHと、陰イオンの塩化物イオンClに分かれている

・電気分解を始めると、陰イオンは陽極(+極)に、陽イオンは陰極(-極)に引き寄せられる
陰イオンの塩化物イオンCl電子を失い(陽極に電子をわたす)、塩素原子Clになる
・陽イオンの水素イオンH電子を受け取り(陰極から電子を受け取る)、水素原子Hになる

・塩素原子は2個結びついて、塩素分子Clになる
・水素原子は2個結びついて、水素分子Hになる

4.電池(化学電池)

化学変化によって、物質の化学エネルギーを電気エネルギーに変えて取り出す装置

①電池のしくみ

電解質の水溶液の中に2種類の金属板を電極として入れ、導線でつなぐと電流が流れる

②電池の例

塩酸に、亜鉛板と板を入れて導線でつなぐ
→亜鉛板が-極、銅板が+極になる

電子は亜鉛板から銅板に移動する(電流の発生)


漢字などの読み方(タップで開きます)

1.原子の構造とイオン
原子核:げんしかく
陽子:ようし
・中性子ちゅうせいし
陽イオン:ようイオン
陰イオン:いんイオン
:エイチプラス
Cu2+:シーユーにプラス
:オーエイチマイナス塩化物:えんかぶつ
Cl:シーエルマイナス
・SO2-:エスオーフォーにマイナス

2.水溶液とイオン
電解質:でんかいしつ
電離:でんり