老中田沼意次の政治
※老中在職:1772~1786年
1.老中就任
・1772年、田沼意次が側用人から老中に就任
・10代将軍徳川家治の信任を受ける
※意次の子:若年寄の田沼意知
・特徴:財政再建に商業資本を積極的に利用
※一方で賄賂・縁故人事の横行
2.おもな政策
①株仲間を積極的に公認
・商品の生産・流通が生み出す富に着目
→営業税(運上・冥加)の増収をはかる
②幕府専売
・銅座、真鍮座、朝鮮人参座の設置
→幕府の専売として増収をはかる
③新田開発
・商人資本を利用し、下総の印旛沼や手賀沼の大規模干拓工事
→利根川の大洪水により失敗
④蝦夷地の開発
・最上徳内らを派遣、ロシアとの交易も検討
※仙台藩の医師工藤平助の『赤蝦夷風説考』の意見を採用
⑤長崎貿易の転換
・銅や蝦夷地特産の俵物を輸出し、金銀を輸入
⑥初の計数銀貨
・南鐐二朱銀:金2朱に相当、8枚で金1両
※金貨の単位を持つ銀貨
3.田沼政治への批判、問題
・賄賂・縁故による人事の横行、武士本来の士風を退廃
・浅間山大噴火、天明の飢饉の発生
→百姓一揆・打ちこわしの多発
・1784年、子の田沼意知が刺殺される
→犯人の旗本佐野政言は「世直し大明神」とよばれる
→田沼意次の勢力の後退
4.失脚
・1786年、将軍家治の死去
→田沼意次は老中を罷免される
※1787年、江戸・大坂などで天明の打ちこわしが発生
漢字の読み方
・田沼意次:たぬまおきつぐ
・徳川家治:とくがわいえはる
・田沼意知:たぬまおきとも
・運上:うんじょう
・冥加:みょうが
・銅座:どうざ
・真鍮座:しんちゅうざ
・朝鮮人参座:ちょうせんにんじんざ
・専売:せんばい
・下総:しもうさ
・印旛沼:いんばぬま
・手賀沼:てがぬま
・利根川:とねがわ
・蝦夷地:えぞち
・最上徳内:もがみとくない
・工藤平助:くどうへいすけ
・赤蝦夷風説考:あかえぞふうせつこう
・俵物:たわらもの
・計数銀貨:けいすうぎんか
・南鐐二朱銀:なんりょうにしゅぎん
・賄賂:わいろ
・縁故:えんこ
・浅間山大噴火:あさまやまだいふんか
・天明の飢饉:てんめいのききん
・佐野政言:さのまさこと