幕府の動揺、応仁の乱(標準)

1.4代将軍足利義持の時代

※在職:1394~1423年

 

日明貿易(勘合貿易)の中断

・朝貢形式を嫌い中断

※6代将軍足利義教のときに再開

 

上杉禅秀の乱:1416年

・前関東管領上杉禅秀による反乱

 →幕府が鎮圧


2.土一揆の発生

正長の徳政一揆(土一揆):1428年

※代初めの徳政(6代足利義教就任後) 

 

ⅰ.始まり

近江の馬借が徳政(借金の帳消し)を求めて蜂起

・京都近郊の農民たちも京都の土倉酒屋を襲った

※襲われた理由:土倉や酒屋は高利貸しを営んでいたため

 

ⅱ.史料

柳生の徳政碑文:「正長元年ヨリサキ者(は)カンヘ四カンカウ(神戸4カ郷)ニヲヰメ(負い目)アルヘカラス」

・『大乗院日記目録』:「日本開闢以来、土民蜂起是れ初め也」

 

②播磨の土一揆:1429年

・播磨で発生。赤松氏の家臣の国外追放を要求

・守護赤松満祐が鎮圧 


3.6代将軍足利義教の時代

※在職:1429~1441年

・専制政治を展開

 

永享の乱:1438年

・背景:鎌倉公方足利持氏と関東管領上杉憲実の対立

足利義教は上杉氏を支援し、足利持氏を討伐

 

結城合戦:1440年

結城氏朝が足利持氏の遺児を担いで挙兵するが鎮圧される

 

嘉吉の変:1441年

・有力守護赤松満祐が将軍足利義教を暗殺

→幕府の権威が動揺。幕府の実権が有力守護に移る

 

嘉吉の徳政一揆(土一揆):1441年

・6代将軍足利義教の死後、京都で発生

・「代始めの徳政」を要求 

・幕府はついに徳政令を発令し、一揆は終息


4.8代将軍足利義政の時代

※在職:1449~1473年

 

享徳の乱:1454年

ⅰ.概要

鎌倉公方足利成氏(足利持氏の子)が上杉憲忠を殺害

 

ⅱ.鎌倉公方の分裂

※関東はいちはやく戦国時代に突入

a.古河公方

足利成氏下総古河に逃れて反抗を継続

 

b.堀越公方

・上杉氏が将軍足利義政の兄弟足利政知伊豆堀越に迎えた

 

応仁の乱:1467~1477年

ⅰ.背景:将軍の跡継ぎをめぐる争い

足利義政とその妻日野富子には男子がいなかった

→義政は弟の足利義視を還俗させて将軍の後継ぎとした

→翌年、日野富子に男子(足利義尚)が誕生。家督をめぐる争いに

→さらに有力守護大名の細川勝元山名持豊(宗全)が介入して対立、その他の守護大名もからんで応仁の乱が起こる

※9代将軍には足利義尚が就任

 

ⅱ.西・東両軍の対立関係

※1468年ごろ

a.総大将

・西軍:山名持豊(宗全)

・東軍:細川勝元

 ※両者とも1473年没

 

b.足利将軍家

・西軍:足利義視

・東軍:足利義政足利義尚

 

c.斯波氏

・西軍:斯波義廉

・東軍:斯波義敏

 

d.畠山氏

・西軍:畠山持国畠山義就

・東軍:畠山持富畠山政長

 

③応仁の乱の影響

ⅰ.足軽の登場

・軽装で機動力に富む

・略奪も行った 

 

ⅱ.将軍権威の失墜

 

ⅲ.京都の荒廃

・公家が戦火を逃れて地方に移住し、中央の文化が地方に波及

例:大内氏の城下町・山口の繁栄  

 

ⅳ.戦国時代

・日本各地に争乱が波及


5.下剋上の風潮と一揆

下剋上

・下の者が実力で上の者をしのぐこと

・伝統的権威を否定する社会的風潮

→各種一揆の発生、戦国大名の登場、戦国時代の幕開けなどに象徴される

 

②さまざまな一揆

ⅰ.山城の国一揆:1485年

畠山氏(畠山義就、畠山政長)を追放

※応仁の乱終結後も両派に分かれ争っていた

 →1493年まで、8年間にわたる南山城の自治を実現 

 ※史料:『大乗院寺社雑事記

 

ⅱ.加賀の一向一揆:1488年

・加賀の一向宗(浄土真宗)門徒が国人と結び、守護の富樫政親をほろぼす

 ※蓮如兼寿)の布教による勢力の拡大が背景にあった

 →約100年にわたる自治を実現

・1580年、織田信長に制圧される


漢字の読み方(タップで開きます) ・足利義持:あしかがよしもち
・上杉禅秀:うえすぎぜんしゅう
・土一揆:つちいっき(どいっき)
・正長の徳政一揆(土一揆):しょうちょうのとくせいいっき(つちいっき)
・近江:おうみ
・馬借:ばしゃく
・土倉:どそう
・酒屋:さかや
・柳生徳政碑文:やぎゅうとくせいひぶん
・大乗院日記目録:だいじょういんにっきもくろく
・開闢:かいびゃく
・播磨の土一揆:はりまのつちいっき
・赤松満祐:あかまつみつすけ

・足利義教:あしかがよしのり
・永享の乱:えいきょうのらん
・足利持氏:あしかがもちうじ
・上杉憲実:うえすぎのりざね
・結城合戦:ゆうきかっせん
・結城氏朝:ゆうきうじとも
・遺児:いじ
・嘉吉の変:かきつのへん
・嘉吉の徳政一揆(土一揆):かきつのとくせいいっき(つちいっき)

・足利義政:あしかがよしまさ
・享徳の乱:きょうとくのらん
・足利成氏:あしかがしげうじ
・上杉憲忠:うえすぎのりただ
・古河公方:こがくぼう
・堀越公方:ほりごえくぼう
・足利政知:あしかがまさとも
・応仁の乱:おうにんのらん
・日野富子:ひのとみこ
・足利義視:あしかがよしみ
・足利義尚:あしかがよしひさ
・細川勝元:ほそかわかつもと
・山名持豊(宗全):やまなもちとよ(そうぜん)
・斯波義廉:しばよしかど
・斯波義敏:しばよしとし
・畠山持国:はたけやまもちくに
・畠山義就:はたけやまよしひろ(よしなり)
・畠山持富:はたけやまもちとみ
・畠山政長:はたけやままさなが
・足軽:あしがる

・下剋上:げこくじょう
・山城の国一揆:やましろのくにいっき
・大乗院寺社雑事記:だいじょういんじしゃぞうじき
・加賀の一向一揆:かがのいっこういっき
・富樫政親:とがしまさちか
・蓮如(兼寿):れんにょ(けんじゅ)
・石山本願寺:いしやまほんがんじ