1.足利義満の政治
※第3代将軍。在職1368~1394年
・幕府の全盛期を築く
①「室町幕府」の成立
・1378年、京都の室町に壮麗な邸宅(花の御所)を建設
→室町幕府と呼ばれる
②南北朝の合体(合一)
・1392年、南朝の後亀山天皇が京都に帰る
→北朝の後小松天皇に譲位。南北朝が統一
③有力守護大名の討伐
ⅰ.土岐康行の乱:1390年
・美濃・尾張・伊勢の3カ国の守護を兼ねる土岐康行を討伐
ⅱ.明徳の乱:1391年
・11カ国の守護を兼ね、六分一衆とよばれた山名氏の内紛に介入
→山名氏清を滅ぼす
※山名氏の領国は3カ国に削減
ⅲ.応永の乱:1399年
・6カ国の守護を兼ねる大内義弘を滅ぼす
④北山文化
・1397年、鹿苑寺金閣を建立
⑤外交・貿易
・1401年、日明貿易開始
→1404年、勘合貿易開始
⑥天皇権威の利用
・1407年、自分の妻を天皇の准母(天皇の名目上の母)とした
・義満の死後、朝廷は太上法皇の尊号を与えようとするが4代将軍足利義持が辞退
2.室町幕府の機構
①中央(京都)
ⅰ.管領
・将軍の補佐
・その他の中央機関を統轄
※三管領:細川、斯波、畠山の足利氏一族3氏が交代で管領に任命された
ⅱ.その他
・侍所、政所、問注所、評定衆などは鎌倉幕府に引き続き設置
※四職:赤松、一色、山名、京極の4氏が侍所長官(所司)に任命された
②地方
ⅰ.守護
・有力守護は在京し、幕府に出仕
→地元に守護代を置いて領国経営にあたらせた
※室町幕府の守護は守護大名とも呼ばれる
ⅱ.鎌倉府
・足利尊氏が鎌倉に設置
・鎌倉公方:鎌倉府の長官
→尊氏の子足利基氏が初代鎌倉公方に就任
・東国10カ国を支配:関東8カ国+伊豆・甲斐
→のち陸奥・出羽も加えて12カ国
・鎌倉府の権限は非常に大きく、しばしば京都の幕府と対立
ⅲ.関東管領
・鎌倉公方の補佐役
・上杉氏が世襲した
※鎌倉府・関東管領の下にも侍所・政所・問注所・評定衆などが置かれた
ⅳ.九州探題
・九州の守護大名の統制、南朝の勢力討伐を任務
・1371年、今川了俊(今川貞世)が就任
ⅴ.奥州探題
・陸奥の軍事・民政を担当
ⅵ.羽州探題
・奥州探題から分立
・出羽国の軍事・民政を担当
3.室町幕府の経済基盤
①御料所
・室町幕府の直轄領
→将軍の直轄軍である奉公衆が管理
②日明貿易(勘合貿易)
・朝貢形式のため明側の負担が大きく、幕府は大きな利益を得た
③さまざまな税
※幕府は多くの収入源を確保。荘園(土地)からの年貢よりも、貨幣経済の浸透を背景に銭貨の徴収が増える
ⅰ.土倉役(倉役)
・京都の高利貸し業者・土倉に課した税
ⅱ.酒屋役
・奈良や京都の酒造業者に課した税
ⅲ.関銭
・交通の要所に関所を設けて徴収した通行税
ⅳ.津料
・港で徴収する入港税
ⅴ.段銭
・田畑一段ごとに課された土地税。臨時に徴収
ⅵ.棟別銭
・家屋の棟数に応じて課された家屋税。臨時に徴収
ⅶ.分一銭
・徳政令発令の際、債務の一部だけを幕府に納めさせた
漢字の読み方(タップで開きます)
・足利義満:あしかがよしみつ・花の御所:はなのごしょ
・南北朝の合体(合一):なんぼくちょうのがったい(ごういつ)
・後亀山天皇:ごかめやまてんのう
・後小松天皇:ごこまつてんのう
・土岐康行の乱:ときやすゆきのらん
・明徳の乱:めいとくのらん
・六分一衆:ろくぶんのいちしゅう
・山名氏清:やまなうじきよ
・応永の乱:おうえいのらん
・大内義弘:おおうちよしひろ
・北山文化:きたやまぶんか
・鹿苑寺金閣:ろくおんじきんかく
・日明貿易:にちみんぼうえき
・勘合貿易:かんごうぼうえき
・准母:じゅんぼ
・太上法皇:だいじょうほうおう
・足利義持:あしかがよしもち
・管領:かんれい
・三管領:さんかんれい
・細川:ほそかわ
・斯波:しば
・畠山:はたけやま
・四職:ししき
・赤松:あかまつ
・一色:いっしき
・山名:やまな
・京極:きょうごく
・所司:しょし
・守護代:しゅごだい
・鎌倉府:かまくらふ
・鎌倉公方:かまくらくぼう
・足利基氏:あしかがもとうじ
・関東管領:かんとうかんれい
・九州探題:きゅうしゅうたんだい
・今川了俊(今川貞世):いまがわりょうしゅん(いまがわさだよ)
・奥州探題:おうしゅうたんだい
・羽州探題:うしゅうたんだい
・御料所:ごりょうしょ
・直轄領:ちょっかつりょう
・奉公衆:ほうこうしゅう
・土倉役(倉役):どそうやく(くらやく)
・酒屋役:さかややく
・関銭:せきせん
・津料:つりょう
・段銭:たんせん
・棟別銭:むなべつせん(むなべちせん)
・分一銭:ぶいちせん