1.幕府と藩の機構
①幕府の財政基盤
・年貢:約400万石の直轄領(幕領、天領)から
・鉱山:佐渡相川金山、但馬生野銀山、石見大森銀山など
・直轄地:江戸、京都、大坂、長崎、堺など
②幕府の軍事力
・直参:将軍直属の家臣で1万石未満
→さらに旗本と御家人に分かれる
※将軍に謁見(お目見え)を許されるのが旗本、許されないのが御家人
・諸大名の負担する軍役
③職制
・3代将軍徳川家光のころまでに整備
ⅰ.将軍直属の役職
※譜代大名から任命
・大老:最高職だが臨時に設置
※10万石以上の譜代
・老中:常置の最高職で幕府の政治を統括
※2万5千石以上の譜代
・若年寄:老中の補佐、目付の指揮、旗本・御家人の監察
・寺社奉行:寺社の監察。金地院崇伝の死去に伴い組織化
・京都所司代:朝廷・公家の監察、西国大名の監察など
・大坂城代:西国大名の監察など
ⅱ.旗本から任命
・勘定奉行:幕領(天領)の統治
→下に郡代・代官がいる
・町奉行(江戸町奉行):江戸市中の行政・司法を担当
・大目付:老中の配下で大名の監察
・目付:若年寄の配下で旗本・御家人の監察
・城代:大坂・駿府・二条城などの留守を預かる
※本来は将軍の城だが将軍は江戸にいるため
・町奉行:京都・大坂・駿府町奉行など
→各地の行政・司法を担当
・遠国奉行(奉行):長崎、日光、佐渡などの直轄地に設置された奉行の総称
・郡代:関東郡代のほか美濃・飛驒にも設置。10万石以上の幕領を支配
・代官:郡代とは別に、幕領の農村を支配
※三奉行:寺社奉行、勘定奉行、(江戸)町奉行
→うち寺社奉行が最高格
※評定所:最高司法機関。三奉行・大目付らが合議。重要な訴訟などを担当
④大名の地方支配
・藩:大名の領地と支配機構の総称
※各藩の統治方法の変化
・地方知行制…領内の有力武士に土地を与え、その領民支配を認める方式
→俸禄制度:藩の領内からの年貢を蔵米として武士に支給
※有力武士も城下町に集住し、家臣団として藩政を分担
2.幕府と朝廷
※幕府は京都所司代、武家伝奏(公家から2名)を通じて朝廷を統制
・禁裏御料:天皇家の領地。必要最小限にとどめられた
①幕府と朝廷の関係
・1611年、徳川家康が幕府の権力を背景に後水尾天皇を擁立
・1615年、禁中並公家諸法度:金地院崇伝が起草。天皇の学問専念など
・1620年、徳川和子(東福門院)を後水尾天皇に入内させる
※2代将軍徳川秀忠の娘
②紫衣事件:1627年
・後水尾天皇が幕府の許可なく与えた紫衣を、幕府が取り上げた事件
→抗議した大徳寺の沢庵を処罰
※禁中並公家諸法度違反が理由
※紫衣:高徳の僧・尼に与えられる法衣や袈裟。朝廷の収入源でもあった
・紫衣事件後の1629年、後水尾天皇が譲位(幕府に相談なし)
→女帝の明正天皇が即位:後水尾天皇の子であり秀忠の孫
※称徳天皇以来の女帝。江戸時代の女帝は他に後桜町天皇がいる
3.キリスト教対策
①禁教令
・1612年、直轄領に発令
→1613年、全国に及ぼす
②宣教師らの追放
・1614年、高山右近をマニラに追放
・その他の宣教師もマニラやマカオへ追放
③元和の大殉教
・1622年、長崎で宣教師・信徒55名を処刑
→多くの信者は改宗するが、一部は隠れキリシタン(潜伏キリシタン)として信仰を継続
④島原の乱:1637年
・島原城主松倉氏と天草領主寺沢氏の圧政や、キリスト教徒弾圧に抵抗
・天草四郎時貞(益田時貞)を首領とする3万人余りの一揆
・原城跡にたてこもる
→幕府は九州の諸大名や老中松平信綱を派遣して鎮圧
※乱後、幕府は絵踏を強化:イエス像・マリア像を彫った踏絵を踏ませる
4.寺社対策
①寺院法度
・1601~1616年、宗派ごとに出された寺院・僧侶統制令の総称
②本末制度の確立
・宗派ごとに本山・末寺を設定し、地位を序列化
・本山:その宗派の中心寺院
・末寺:本山の統制下にある一般寺院
③諸宗寺院法度
・1665年、①の寺院法度を各宗派共通にして発令
④諸社禰宜神主法度
・1665年発令。神社・神職の統制
⑤寺請制度(寺檀制度)の確立
・一般民衆を檀家として寺院に所属させ、キリシタンでないことを証明させる制度
・宗門改め(禁教目的の信仰調査)を実施。宗門改帳(宗旨人別改帳)が作成された
→目的:キリスト教や日蓮宗不受不施派の信仰禁止を徹底させるため
漢字の読み方
・幕領:ばくりょう
・天領:てんりょう
・佐渡相川金山:さどあいかわきんざん
・但馬生野銀山:たじまいくのぎんざん
・石見大森銀山:いわみおおもりぎんざん
・直参:じきさん
・旗本:はたもと
・御家人:ごけにん
・徳川家光:とくがわいえみつ
・大老:たいろう
・老中:ろうじゅう
・常置:じょうち
・若年寄:わかどしより
・寺社奉行:じしゃぶぎょう
・大坂城代:おおさかじょうだい
・勘定奉行:かんじょうぶぎょう
・町奉行:まちぶぎょう
・江戸町奉行:えどまちぶぎょう
・大目付:おおめつけ
・目付:めつけ
・城代:じょうだい
・遠国奉行:おんごくぶぎょう
・郡代:ぐんだい
・代官:だいかん
・三奉行:さんぶぎょう
・評定所:ひょうじょうしょ
・藩:はん
・地方知行制:じかたちぎょうせい
・俸禄制度:ほうろくせいど
・禁裏御料:きんりごりょう
・後水尾天皇:ごみずのおてんのう
・禁中並公家諸法度:きんちゅうならびにくげしょはっと
・金地院崇伝:こんちいんすうでん
・徳川和子:とくがわかずこ(まさこ)
・東福門院:とうふくもんいん
・紫衣事件:しえじけん
・大徳寺:だいとくじ
・沢庵:たくあん
・女帝:じょてい
・明正天皇:めいしょうてんのう
・称徳天皇:しょうとくてんのう
・後桜町天皇:ごさくらまちてんのう
・禁教令:きんきょうれい
・高山右近:たかやまうこん
・元和の大殉教:げんなのだいじゅんきょう
・隠れキリシタン:かくれキリシタン
・潜伏キリシタン:せんぷくキリシタン
・島原の乱:しまばらのらん
・松倉氏:まつくらし
・寺沢氏:てらさわし
・天草四郎時貞:あまくさしろうときさだ
・益田時貞:ますだときさだ
・原城跡:はらじょうあと
・松平信綱:まつだいらのぶつな
・絵踏:えぶみ
・踏絵:ふみえ
※踏絵は像が彫られたもの。絵踏は踏絵を踏む行為
・寺院法度:じいんはっと
・本末制度:ほんまつせいど
・本山・末寺:ほんざん・まつじ
・諸宗寺院法度:しょしゅうじいんはっと
・諸社禰宜神主法度:しょしゃねぎかんぬしはっと
・寺請制度:てらうけせいど
・寺檀制度:じだんせいど
・宗門改め:しゅうもんあらため
・宗門改帳:しゅうもんあらためちょう
・宗旨人別改帳:しゅうしにんべつあらためちょう
・日蓮宗不受不施派:にちれんしゅうふじゅふせは