日本史:鎌倉時代(概略)①

Ⅰ.鎌倉時代の年代

・1185年(または1192)年から1333年まで

 

Ⅱ.大まかな流れ

1.鎌倉幕府の成立

・1185年、守護地頭の設置

・1192年、源頼朝征夷大将軍に任命される

 

2.源氏の正統断絶~承久の乱

・1219年、3代将軍源実朝が暗殺される

・1221年、承久の乱後鳥羽上皇が挙兵

 

3.執権政治

・1232年、御成敗式目(貞永式目)

 3代執権北条泰時が制定

 

4.元寇と鎌倉幕府の動揺

・1274・81年、元寇:8代執権北条時宗のとき

・1297年、永仁の徳政令

 

5.鎌倉幕府の滅亡

1333年、鎌倉幕府滅亡


Ⅲ.鎌倉時代の流れ

1.鎌倉幕府の成立

①幕府成立の経緯:源頼朝の業績

ⅰ.守護・地頭の設置:1185年

・国ごとに守護、荘園・公領に地頭を設置

 ※1段当たり5升の兵粮米(段別5升の兵粮米)を徴収する権利も

 

ⅱ.奥州平定:1189年

奥州藤原をほろぼす

平泉を根拠地として栄えた

中尊寺金色堂などの建築が有名

 

ⅲ.右近衛大将に就任1190年

 

ⅳ.征夷大将軍に就任:1192年

後白河法皇が亡くなった後に任命

 

②鎌倉幕府のしくみ・職制

ⅰ.中央(鎌倉)

a.執権

・将軍の補佐役

北条が代々就任

 

b.侍所

・御家人の統率、軍事・警察

・初代別当和田義盛

 

c.政所

・幕府の財政、一般の政務を担当

 ※最初は公文所

・初代別当大江広元

 

d.問注所

・裁判・訴訟を担当

・初代執事三善康信

 

ⅱ.地方

a.守護

・国ごとに設置

・国内の軍事・警察、御家人の統率など

大犯三箇条:守護の権限。大番催促、謀叛人の逮捕、殺害人の逮捕の3つ

 

b.地頭

・公領や荘園ごとに設置

・土地の管理、年貢の取り立てなど

 

c.京都守護

・京都に設置

→承久の乱後、六波羅探題となる 

 

d.鎮西奉行

・九州の御家人の統率、軍事・警察など

→蒙古襲来後、鎮西探題が別に設置され、権限は縮小

 

③将軍と御家人

ⅰ.御家人

・将軍と主従関係を結んだ武士

 

ⅱ.御恩

本領安堵…先祖伝来の所領の支配を保障

新恩給与…新たな所領を与える

 

ⅲ.奉公

・戦時:軍役(軍事動員)の負担

・平時:京都大番役鎌倉番役(幕府の警護)など


2.源氏の正統断絶~承久の乱

①源氏の正統断絶

・1199年、源頼朝が死去

 →子の源頼家が2代将軍に就任 

北条政子が補佐(源頼朝の妻/源頼家の母)

 

②北条氏の台頭:有力御家人を排斥

ⅰ.梶原景時敗死1200年

北条時政梶原景時を討つ

 ※北条時政:北条政子の父。初代執権

 

ⅱ.比企能員の乱1203年

・北条時政が比企能員を討つ

 

ⅲ.源頼家を幽閉1203年

源頼家が伊豆の修禅寺に幽閉される

 →源実朝が3代将軍に就任

1204年、源頼家暗殺される

 

ⅴ.和田合戦:1213年

北条義時和田義盛を滅ぼす

侍所政所の別当を兼務

 ※北条義時:北条時政の子。2代執権

 

承久の乱

ⅰ.開戦

a.朝廷側

後鳥羽上皇が挙兵

北条義時追討の宣旨を出す

 ※西面の武士…後鳥羽上皇が設置した

 

b.幕府側

北条政子が御家人に団結を呼びかけ

 

ⅱ.結果と戦後処理

・幕府側の勝利

a.3上皇の配流と天皇

後鳥羽上皇隠岐

土御門上皇:土佐、のち阿波

順徳上皇:佐渡

仲恭天皇の廃位→後堀河天皇の即位

 

b.六波羅探題の設置

京都守護にかわって設置

・朝廷の監視など

 

c.新補地頭

・上皇側の土地を没収し、東日本の御家人を地頭に任命

 ※旧来の本補地頭と区別


3.執権政治

①3代執権北条泰時の政治:1224~42年

ⅰ.連署の設置1225年

・執権の補佐役

・叔父の北条時房を任命

 

ⅱ.評定衆の設置:1225年

・重要政務を合議制で審議

 

ⅲ.藤原頼経を擁立1226年

4代将軍に就任させる

藤原将軍(摂家将軍)のはじめ

 

ⅳ.御成敗式目(貞永式目)制定:1232年

・基本理念:頼朝以来の先例と、道理とよばれた武士社会の慣習・道徳

・幕府権力の及ぶ範囲内で施行

→朝廷の支配下では公家法、荘園領主の下では本所法

 

②5代執権北条時頼の政治:1246~56年

ⅰ.藤原頼嗣の将軍就任:1244年

5代将軍に迎える

藤原将軍(摂家将軍)

 

ⅱ.宝治合戦:1247年

・有力御家人で評定衆の三浦泰村とその一族を滅ぼす

 

ⅲ.引付衆を設置:1249年

・評定衆の補佐

・所領に関する訴訟を担当

・迅速で公平な裁判を行うため

 

ⅳ.宗尊親王の将軍就任:1252年

6代将軍に迎える(後嵯峨上皇の皇子)

皇族将軍のはじめ


漢字の読み方(タップで開きます) 1.鎌倉幕府の成立
・兵粮米:ひょうろうまい
中尊寺金色堂:ちゅうそんじこんじきどう
右近衛大将:うこのえたいしょう
執権:しっけん
侍所:さむらいどころ
・別当:べっとう
和田義盛:わだよしもり
政所:まんどころ
公文所:くもんじょ
大江広元:おおえのひろもと
問注所:もんちゅうじょ
三善康信:みよしのやすのぶ
大犯三箇条:だいぼんさんかじょう
・鎮西奉行:ちんぜいぶぎょう
鎮西探題:ちんぜいたんだい
・本領安堵:ほんりょうあんど
・新恩給与:しんおんきゅうよ
奉公:ほうこう
・京都大番役:きょうとおおばんやく

2.源氏の正統断絶~承久の乱
源頼家:みなもとのよりいえ
北条時政:ほうじょうときまさ
梶原景時:かじわらかげとき
比企能員:ひきよしかず
源実朝:みなもとのさねとも
後鳥羽上皇:ごとばじょうこう
西面の武士:さいめんのぶし
・隠岐:おき
土御門上皇:つちみかどじょうこう
・阿波:あわ
順徳上皇:じゅんとくじょうこう
仲恭天皇:ちゅうきょうてんのう
御堀河天皇:ごほりかわてんのう
新補地頭:しんぽじとう
・本補地頭:ほんぽじとう

3.執権政治
北条泰時:ほうじょうやすとき
連署:れんしょ
・北条時房:ほうじょうときふさ
評定衆:ひょうじょうしゅう
藤原頼経:ふじわらのよりつね
・摂家将軍:せっけしょうぐん
御成敗式目:ごせいばいしきもく
貞永式目:じょうえいしきもく
・公家法:くげほう
・本所法:ほんじょほう
北条時頼:ほうじょうときより
藤原頼嗣:ふじわらのよりつぐ
宝治合戦:ほうじかっせん
三浦泰村:みうらやすむら
引付衆:ひきつけしゅう
宗尊親王:むねたかしんのう
・後嵯峨上皇:ごさがじょうこう

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