Ⅲ.江戸時代の流れ・続き
4.幕政の改革:8~10代将軍(1716~1843年)
①享保の改革:8代将軍徳川吉宗の時代(在職:1716~1745年)
ⅰ.人材登用とその著書
・大岡忠相:旗本(のち江戸町奉行など)
・荻生徂徠:儒学者(古文辞学派)。政治意見書『政談』
・室鳩巣:儒学者(朱子学派)
・田中丘隅:川崎宿の名主、農政家。『民間省要』
ⅱ.財政再建
・倹約令
・上げ米(の制):1722~1730年実施
→大名は石高1万石につき100石を献上。見返りに参勤交代の在府期間を半減
・足高の制:少ない財政負担で人材登用するため。在職中のみ不足分を支給
・相対済し令…金銀貸借訴訟(金公事)を不受理とし、当事者間で解決させる
・目安箱:庶民の意見を聞くための投書箱を設置
→町火消の創設、貧民用医療施設の小石川養生所の創設など
・公事方御定書:裁判の基準を定める
・年貢:検見法を改め定免法を採用。年貢率の引き上げ
・町人請負新田:町人の経済力を利用した新田開発
・漢訳洋書の輸入緩和:実学を奨励
・オランダ語の習得:青木昆陽、野呂元丈ら
→のちの蘭学の発展につながる
※青木昆陽は甘藷(サツマイモ)の普及を実現
②田沼意次の政治:1772~1786年
・1772年、田沼意次が老中就任:10代将軍徳川家治の信任
ⅰ.田沼意次の政策
・株仲間を積極的に公認:営業税(運上・冥加)の増収をはかる
・新田開発:下総の印旛沼、手賀沼の大規模干拓工事
→利根川の大洪水により失敗
・1772年、南鐐二朱銀の発行:初の計数銀貨
ⅱ.失脚
・浅間山の噴火、天明の飢饉の発生
→百姓一揆・打ちこわしの多発
・1784年、子の田沼意知が刺殺される
※犯人の旗本佐野政言:「世直し大明神」
・1786年、将軍家治の死去にともない、田沼意次は老中を罷免される
・1787年、江戸・大坂などで天明の打ちこわしがおこる
漢字の読み方
・享保の改革:きょうほうのかいかく
・徳川吉宗:とくがわよしむね
・大岡忠相:おおおかただすけ
・荻生徂徠:おぎゅうそらい
・室鳩巣:むろきゅうそう
・田中丘隅:たなかきゅうぐ
・民間省要:みんかんせいよう
・上げ米:あげまい
・足高の制:たしだかのせい
・相対済し令:あいたいすましれい
・目安箱:めやすばこ
・町火消:まちびけし
・小石川養生所:こいしかわようじょうしょ
・公事方御定書:くじかたおさだめがき
・検見法:けみほう
・定免法:じょうめんほう
・青木昆陽:あおきこんよう
・野呂元丈:のろげんじょう
・甘藷:かんしょ
・田沼意次:たぬまおきつぐ
・徳川家治:とくがわいえはる
・運上:うんじょう
・冥加:みょうが
・印旛沼:いんばぬま
・手賀沼:てがぬま
・南鐐二朱銀:なんりょうにしゅぎん
・田沼意知:たぬまおきとも
・佐野政言:さのまさこと