日本史:江戸時代(概略)①

Ⅲ.江戸時代の流れ

A.江戸幕府の成立

1.関ヶ原の戦い:1600年

東軍徳川家康

西軍石田三成

 ※西軍の総大将は毛利輝元(参陣せず)

→東軍の勝利


2.江戸幕府の成立:1603年

徳川家康征夷大将軍に就任

 ※後陽成天皇により任命される

・1605年、徳川秀忠が2代目の将軍になる


3.大坂の役:1614~15年

大坂冬の陣(1614年)

大坂夏の陣(1615年)

→2度の戦いで豊臣氏(豊臣秀頼)を滅ぼす

元和偃武とよばれる平和な時代の到来


B.幕藩体制の確立

1.大名・朝廷の統制

一国一城令:1615年

・大名の居城は1つに限る

 

武家諸法度(元和令)1615年

・大名の統制のための法令

・2代将軍徳川秀忠の名で発布

 ※家康が金地院崇伝に起草させた

・以後、将軍の代替わりごとに発布

 

※その後の武家諸法度

寛永令:3代将軍徳川家光

 ※参勤交代の制度化

寛文令:4代将軍徳川家綱

天和令:5代将軍徳川綱吉

 

禁中並公家諸法度:1615年

・朝廷・公家の統制

金地院崇伝が起草

・天皇は学問を第一とすることなどを規定


2.大名の種類

※1万石以上の武士

 

親藩

・徳川氏一門

三家尾張紀伊水戸

 

譜代大名

・家康が三河の一大名の時代からの家臣

・石高は少ないが全国の要地に配置

・幕府の要職に就任

 

外様大名

・関ヶ原の戦いの頃から徳川氏に従った大名

・石高は多いが遠隔地に配置

・幕府の政治には参加できない


3.旗本・御家人

・将軍直属の家臣

・まとめて直参という

万石未満

※将軍に謁見(お目見え)を許されるのが旗本、許されないのが御家人


4.江戸幕府の職制

・3代将軍徳川家光のころまでに整備

※●の役職は譜代大名から、 △は旗本から任命

 

①中央 

ⅰ.大老

・臨時に設置される最高職

 

ⅱ.老中

・常置の最高職。幕府の政治を統括

 

ⅲ.若年寄

・老中の補佐、目付の指揮、旗本・御家人の監察

 

ⅳ.寺社奉行

・寺社の監察

※金地院崇伝の死去が組織化の契機

 

ⅴ.勘定奉行

・幕領(天領)の統治

下に郡代・代官を配置

 

ⅵ.町奉行(江戸町奉行)△

・江戸市中の行政・司法を担当

 

ⅶ.大目付△

・老中の配下で大名の監察

 

ⅷ.目付△

・若年寄の配下で旗本・御家人の監察

 

三奉行

寺社奉行勘定奉行町奉行

 →うち寺社奉行が最高格

 

※評定所

・最高司法機関

・老中三奉行が合議。重要な訴訟などを審議

 

②地方

ⅰ.京都所司代

・朝廷・公家の監察、西国大名の監察など

 

ⅱ.大坂城代

・西国大名の監察など

 

ⅲ.城代△

・駿府城、二条城の留守を預かる

 

ⅳ.町奉行△

・京都、大坂、駿府の行政・司法を担当

 

ⅴ.遠国奉行(奉行)△

・長崎、日光、佐渡などの直轄地に設置された奉行の総称

 

ⅵ.郡代△

・関東郡代のほか美濃・飛驒にも設置

・10万石以上の幕領を支配

 

ⅶ.代官△

・郡代とは別に、幕領の農村を支配


5.朝廷との関係

①朝廷の統制のための職

京都所司代

武家伝奏公家から2名

 

②朝廷との間のおもなできごと

ⅰ.後水尾天皇の即位:1611年

・徳川家康が擁立

 

ⅱ.禁中並公家諸法度:1615年

金地院崇伝が起草

・天皇の学問専念などを規定

 

ⅲ.徳川和子の入内:1620年

徳川秀忠の娘後水尾天皇に入内させる

 

紫衣事件:1627年

・幕府が1615年以降幕府の許可なしに勅許された紫衣を剥奪

 ※禁中並公家諸法度違反が理由

・これに抗議した大徳寺沢庵を処罰

 

※1629年、後水尾天皇が幕府の同意を得ずに突然譲位

 →明正天皇が即位:称徳天皇以来の女帝。後水尾天皇の子、徳川秀忠の孫


6.キリスト教対策

禁教令:1612年

・直轄領に発令

 →1613年、全国に及ぼす

 

・1614年、高山右近をマニラに追放

※その他の宣教師もマニラやマカオへ追放

 

②元和の大殉教:1622年

・長崎で宣教師・信徒55名を処刑

 

島原の乱:1637年

天草四郎時貞(益田時貞)に率いられた大規模な一揆

 →乱の鎮圧後、幕府は絵踏を強化


7.寺社対策

①寺院法度:1601~16年

・宗派ごとに出された寺院・僧侶統制令の総称

 

本末制度の確立

・宗派ごとに本山・末寺を設定し、地位を序列化

 

諸宗寺院法度:1665年

寺院法度を各宗派共通にして発令

 

諸社禰宜神主法度:1665年

・神社・神職の統制

 

寺請制度(寺檀制度)の確立

宗門改め(禁教目的の信仰調査)の実施

宗門改帳が作成された

 ※目的:キリスト教や日蓮宗不受不施派の信仰禁止を徹底させるため


漢字の読み方(タップで開きます) 1.江戸幕府の成立
毛利輝元:もうりてるもと
・後陽成天皇:ごようぜいてんのう
徳川秀忠:とくがわひでただ
大坂の役:おおさかのえき
豊臣秀頼:とよとみひでより
・元和偃武:げんなえんぶ

2.幕藩体制の成立
一国一城令:いっこくいちじょうれい
武家諸法度(元和令):ぶけしょはっと(げんなれい)
金地院崇伝:こんちいんすうでん
寛永令:かんえいれい
・寛文令:かんぶんれい
天和令:てんなれい
禁中並公家諸法度:きんちゅうならびにくげしょはっと
親藩:しんぱん
譜代大名:ふだいだいみょう
外様大名:とざまだいみょう
・旗本・御家人:はたもと・ごけにん
直参:じきさん
・謁見:えっけん
徳川家光:とくがわいえみつ
大老:たいろう
老中:ろうじゅう
若年寄:わかどしより
寺社奉行:じしゃぶぎょう
勘定奉行:かんじょうぶぎょう
・大目付:おおめつけ
・三奉行:さんぶぎょう
・評定所:ひょうじょうしょ
京都所司代:きょうとしょしだい
遠国奉行:おんごくぶぎょう
・郡代:ぐんだい
・代官:だいかん
武家伝奏:ぶけてんそう
後水尾天皇:ごみずのおてんのう
徳川和子:とくがわかずこ(まさこ)
紫衣事件:しえじけん
・大徳寺:だいとくじ
沢庵:たくあん
明正天皇:めいしょうてんのう
禁教令:きんきょうれい
高山右近:たかやまうこん
・元和の大殉教:げんなのだいじゅんきょう
天草四郎時貞(益田時貞):あまくさしろうときさだ(ますだときさだ)
絵踏:えぶみ
・寺院法度:じいんはっと
・本末制度:ほんまつせいど
・本山・末寺:ほんざん・まつじ
諸宗寺院法度:しょしゅうじいんはっと
諸社禰宜神主法度:しょしゃねぎかんぬしはっと
・寺請制度(寺檀制度):てらうけせいど(じだんせいど)
・宗門改め:しゅうもんあらため
・宗門改帳:しゅうもんあらためちょう
・日蓮宗不受不施派:にちれんしゅうふじゅふせは

ざっくり日本史(近世)各ページリンク(タップで開きます) III.近世
1.安土桃山時代

2.江戸時代:江戸時代全体の流れ
 ・江戸時代-1:~1651年
 ・江戸時代-2:1651~1716年
 ・江戸時代-3:1716~1786年
 ・江戸時代-4:1787~1843年
 ・江戸時代-5:1843~1867年