0.産業の分類
一般的に産業は第一次産業、第二次産業、第三次産業の3つに分類されます
第一次産業は、人間が自然に直接はたらきかけて行う生産活動で、農林水産業がこれにふくまれます。日本では約4%の人が第一次産業で働いています。
第二次産業は原材料を加工して製品をつくり出す産業です。工業や鉱業あります。 日本では約25%の人が第二次産業で働いています。
第三次産業は第一次・第二次産業以外の産業で、商業、サービス業、金融業などです。
日本では第三次産業で働く人が最も多く、約70%となっています。
1.日本の農業
①日本の農業の特徴
日本の農業は農民1人あたりの農地面積が小さく、規模が小さいのが特徴です。北海道は例外で、広大な土地を利用した比較的大規模な農業が行われています。
また、単位面積あたりの収穫量が多いことも日本の農業の特徴です。肥料や機械を使うなどして、効率よく農業を行っていることがわかります。
②さまざまな農業
農業の形態にはさまざまなものがあります。
近郊農業は大都市周辺でさかんに行われています。関東地方であれば東京周辺の千葉県・茨城県・埼玉県、近畿地方では大阪周辺の奈良県、兵庫県、京都府などで、野菜や花を生産しています。
促成栽培は冬でも暖かい気候を利用して出荷時期を早める農業です。宮崎県の宮崎平野、高知県の高知平野などで行われています。
促成栽培とは反対に、夏でも冷涼な気候を利用して出荷時期を遅らせる農業が抑制栽培です。長野県や群馬県などの冷涼な地域で、おもにキャベツ、レタスを生産して出荷しています。
ほかにも、温室やビニールハウスなどの施設を利用した施設園芸農業もあります。
③果樹栽培
果樹栽培では、扇状地や台地、ゆるやかな斜面など、水はけが良い土地で各地の気候に合わせた果物を栽培しています。
りんごは青森県など東日本に多く、冷涼な地域で栽培されています。
これに対しみかんは和歌山県や愛媛県など、西日本の温暖な地域で生産が多いですね。
ぶどうは山梨県など中央高地で多く生産されています。中央高地は雨の少ない地域でもあります。
④畜産
畜産は北海道、鹿児島県、宮崎県で特にさかんとなっています。
⑤食料自給率の低下
日本の食料自給率は約40%と、他の先進国と比べても低くなっています。食料自給率低下の背景には、牛肉やオレンジ、小麦などの農産物の貿易自由化により、安い外国産の農産物が多く入って来るようになったことが挙げられます。
2.日本の林業
日本では秋田すぎ、木曽ひのき、吉野すぎなどの針葉樹が、古くから木造建築に利用されてきました。
その後、価格の安い輸入木材が増加したことで、日本の林業は大きな打撃を受けました。林業従事者の減少や高齢化が問題となっています。
3.日本の漁業
日本のおもな漁港には、千葉県の銚子、静岡県の焼津、青森県の八戸などがあります。世界でも有数の漁獲量をほこっています。
かつては、遠い漁場で数か月にわたって行う遠洋漁業や、200海里程度の水域で2週間以内の沖合漁業がさかんでしたが、各国が(排他的)経済水域を設定したことで日本の漁業に規制がかかったため、これらの漁業の漁獲量は大きく減少しました。
これらのとる漁業から、近年は育てる漁業への転換も進んでいます。育てる漁業には、養殖漁業、栽培漁業があります。
4.日本の工業
日本は世界有数の先進工業国です。
①臨海部の工業
日本の工業の特徴の1つに、加工貿易があります。資源・原料を輸入し、日本国内で製品に加工して輸出するという貿易形態です。こうして、原料の輸入と製品の輸出に便利な臨海部に工業地帯・工業地域が多く形成されました。関東地方から九州地方北部まで工業地域が帯状に連なる太平洋ベルトが形成されています。これらの地域では特に鉄鋼業や石油化学工業が発達しています。
早い時期から発展した工業地帯(地域)には、京浜工業地帯、中京工業地帯、阪神工業地帯、北九州工業地帯(地域)があります。これらを四大工業地帯といいます。近年は地位の低下した北九州工業地帯(地域)を外して三大工業地帯ということもあります。
戦後に発展した工業地域には、京葉工業地域、東海工業地域、瀬戸内工業地域などがあります。
②内陸部の工業地域
内陸部の工業地域は1970年代以降に発達しました。空港や高速道路のインターチェンジ付近に工業団地が形成され、自動車などを生産する機械工業、IC(集積回路)などの電子部品の生産が多いのが特徴です。
内陸部の工業地域としては、北関東工業地域のほか、東北地方や九州地方にも多く見られます。IC(集積回路)の生産が多いことから、東北地方はシリコンロード、九州地方はシリコンアイランドとよばれることもあります。
③日本の工業の発展
工業の分類として、軽工業と重化学工業という分け方があります。軽工業はせんい工業、食品工業などで、早い時期から発展しました。
一方、重化学工業は鉄鋼業、機械工業、石油化学工業などで、戦後になって大きく発展しました。
近年は電子部品の生産など先端技術産業が発展しています。
④日本の工業の変化
1980年代以降、日本の工場が海外に移転することが増えていきました。海外で生産した製品は、その国で販売されるだけでなく、日本にも輸入されました。このような日本の企業は日本だけでなく海外にも生産拠点を持ったことで、多国籍企業としての一面も持つことになりました。
工場の移転先としては、ヨーロッパや北アメリカのほか、アジアがあります。
ヨーロッパや北アメリカに移転したおもな理由は、貿易摩擦を解消するためです。そもそも貿易摩擦の原因には、日本で生産された製品が欧米に多く輸出されたことで、現地(欧米)で失業する労働者が増えたことが挙げられます。そこで、工場を欧米に移転して現地生産をすれば、現地の労働者を雇うことになるので、失業者も減ります。これにより貿易摩擦が解消されることが期待されます。
これに対し、アジアに移転する理由は、労働力が豊富で、賃金が安いからです。アジアに工場を移転する日本の企業にとっては、コストをおさえることができるメリットがあります。
しかし、このように工場が海外に多く移転するようになると、 日本国内の産業が衰退していくことにもつながります。このような現象を産業の空洞化といいます。産業の空洞化の原因は、ほかに安い輸入品の増加などもあります。安い輸入品が増えると、国産品は高くて売れなくなるので、閉鎖される工場が増えてしまいますね。
5.日本の商業
卸売業と小売業を合わせて商業といいます。
卸売業は、小売店に商品を販売する業種です。卸売業者には問屋や商社などがあります。
小売業は、消費者に直接商品を販売する業種です。小売店には、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、百貨店(デパート)などがあります。
近年はインターネットを利用した販売も増加していますね。
6.日本のサービス業
サービス業には、運輸・郵便業、医療・福祉、教育、情報サービス業など、多くの業種があります。
そのなかでも情報通信技術(ICT)関連産業(情報サービス業)が急速に拡大しています。背景にはIT革命の進展があります。インターネットの普及により、ICT関連産業は大きく拡大し、ニュース・広告の配信、商品の販売(オンラインショッピング)など、私たちの日常生活にも欠かせない存在となっています。
このホームページも、IT革命やインターネットの普及のおかげで作成でき、あなたも利用することができているわけですね。