日:世界経済の変容、高度経済成長の終焉とその後の日本


I.世界経済の変容

1.戦後国際経済体制の変容

ドル危機

・背景:アメリカの国際収支の悪化

 

ⅰ.ニクソン=ショック:1971.8

・アメリカが金・ドルの交換停止を発表

 

ⅱ.スミソニアン体制:1971.12

・1ドル=308円の固定相場制

 

ⅲ.変動為替相場制に移行:1973年~

・現在まで続く体制

 

2.国際政治情勢の変化

アメリカの動き

①対中国

・1972年、ニクソン大統領が中華人民共和国を訪問

 ⇒1979年、米中国交正常化

※1971年、中国(中華人民共和国)は台湾(中華民国)にかわって国連代表権と常任理事国の地位を獲得

 

②対ベトナム

・1973年、ベトナム和平協定に調印:アメリカ軍がベトナムから撤退

⇒1975年、南北ベトナム統一

・1976年、ベトナム社会主義共和国が成立


3.石油危機:1973年

第4次中東戦争に伴い、第1次石油危機が発生

 ⇒アラブ石油輸出国機構(OAPEC)が石油の禁輸・量的制限を実施 

 

①石油危機の影響

・世界的な経済成長率の低下

・日本などの高度経済成長の終わり

 

②先進国の対応

・1975年、先進国首脳会議(サミット)の開催

米・日・西独・英・仏・伊の6カ国

・先進国間の経済政策の調整などを協議

 

※翌年からカナダも参加し、毎年開催

 1998年にロシアも加わるが2014年以降除外


II.高度経済成長の終焉とその後の日本

1.第1次・第2次田中角栄内閣:1972.7~74.12

「日本列島改造論」

・工業地帯の全国展開、新幹線・高速道路の全国的な整備

 

日中共同声明:1972年

中華人民共和国と国交正常化

・台湾(中華民国)の国民政府と断交

 ※貿易など民間レベルでは関係を継続

 

第1次石油危機の発生:1973年

狂乱物価:激しいインフレの発生

高度経済成長の終了

 

④保革伯仲

・自民党が議席を減らす

・野党の議席が増加

※しばらく続く

 

⑤総辞職

・政治資金の調達をめぐる金脈問題のため


2.三木武夫内閣:1974.12~76.12

ロッキード事件

・航空業界の汚職事件

・1976年、田中角栄前首相が逮捕される

 

②自由民主党の分裂

新自由クラブの結成

 ※代表:河野洋平

 

③総辞職

・総選挙の結果、結党以来初の衆議院過半数割れ

⇒引責辞任


3.福田赳夫内閣1976.12~78.12

①保革伯仲

・自民党の過半数割れ状態での首相就任

 

②経済政策

・円高不況への対応

・貿易黒字問題(西欧諸国との貿易摩擦)への対応

 

日中平和友好条約

・1978年調印


4.大平正芳内閣:1978.12~80.6

・1979年の総選挙で過半数割れ

・1979年、第2次石油危機の発生

・1980年、総選挙中に急死

 

5.鈴木善幸内閣:1980.7~82.11

・大平正芳首相急死後の総選挙で圧勝

 

6.革新自治体

・革新系候補の敗北:1978~79年、京都・東京・大阪の知事選

・背景:放漫財政による行き詰まり、批判の高まり


7.第1次石油危機後の日本経済

①順調な経済成長

ⅰ.安定成長

・省エネに成功

・5%前後の経済成長率を維持

 ※世界経済は停滞

 

ⅱ.減量経営

・企業は省エネルギー、人員削減などを実施

 

ⅲ.産業構造の転換

・重厚長大型産業から軽薄短小型産業(知識集約型産業)へ

 

ⅳ.欧米諸国との貿易摩擦

・日本の貿易黒字の増大が背景

 

ⅴ.円高の進行

 

②交通網の整備

ⅰ.高速道路

中国自動車道

東北自動車道

・関越自動車道

 

ⅱ.新幹線

・1975年、山陽新幹線

・1982年、東北・上越新幹線

 

ⅲ.青函トンネル瀬戸大橋

・いずれも1988年開通

 ⇒北海道・本州・四国・九州が陸路で結ばれる

 

ⅳ.空港

・1978年、新東京国際空港(現在は成田国際空港)

 ※激しい反対運動が起こる

・1994年、関西国際空港

 

※海外渡航者の増加

・1972年:100万人

⇒1990年:1000万人

 

③経済大国日本

世界全体に占めるGNP比率の増大

 ⇒1980年に約10%に到達

政府開発援助(ODA)の供与額が世界最大規模に

 ※対GNP比率では中位


8.バブル経済と市民生活

①日米貿易摩擦への対応

ⅰ.牛肉・オレンジの輸入自由化

・1988年決定、1991年実施

 

ⅱ.日米構造協議

・1989年から開催

・アメリカが日本の「不公正な」経済構造上の制度・慣行を問題視

 ⇒それらの障壁を撤廃することを目的とした

 

ⅲ.米の部分開放

・1993年決定

 

②アジア経済の発展

ⅰ.アジアNIES

韓国シンガポール台湾香港

・高い経済成長を実現

 

ⅱ.ASEAN(東南アジア諸国連合)

・1967年、5カ国で結成

・現在10カ国

 

ⅲ.中国

改革開放政策

・経済特区の新設

 ⇒経済成長へ

 

③バブル経済

ⅰ.プラザ合意:1985年

5カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)で合意

 ⇒円高ドル安の進行

ⅱ.円高不況

・対応:公定歩合の引き下げ

 ※超低金利政策

ⅲ.バブル経済

・余った資金が株式市場や不動産市場に流入し、株価と地価が暴騰

・実態とかけ離れた好景気(バブル経済)の発生


9.第1次~第3次中曽根康弘内閣:1982.11~87.11

「戦後政治の総決算」をとなえて行財政改革を推進

電電公社専売公社国鉄の民営化

 ⇒それぞれNTTJTJR

・1985年、首相として初めて靖国神社を公式参拝

 

10.労働組合の再編

・1989年、日本労働組合総連合会(連合)が発足

 ※総評も解散して合流