1.日本の経済復興
①朝鮮戦争の日本への影響
ⅰ.朝鮮特需(特需景気)
・アメリカが日本に大量の物資を発注
⇒日本は好景気に
・1951年、工業生産などで戦前の水準(1934~36年平均)を回復
②造船業の復興
・1956年、造船量がイギリスを抜いて世界1位になる
③国際経済体制への参加
ⅰ.IMF(国際通貨基金)
・1952年加盟
ⅱ.GATT(関税及び貿易に関する一般協定)
・1955年加盟
2.高度経済成長
・1955~73年、年平均10%をこえる高い経済成長率を達成
①相次ぐ好景気
ⅰ.神武景気:1955~57年
・1956年の経済白書:「もはや戦後ではない」
⇒復興から経済成長へ:技術革新による成長
ⅱ.岩戸景気:1958~61年
ⅲ.オリンピック景気:1963~64年
ⅳ.いざなぎ景気:1966~70年
・1968年、GNPが資本主義国で世界2位になる
※西ドイツを抜いて2位に。1位はアメリカ
②日本的経営の確立
・終身雇用、年功賃金、労使協調
③産業構造の高度化
・第一次産業の比率が低下
⇒第二次・第三次産業の比率が高まる
・重化学工業が工業生産額の3分の2を占める
④エネルギー革命
・石炭から石油への転換
⇒石炭産業の斜陽化
※三井三池炭鉱争議:1960年
・大量解雇に反対する争議。労働者側の敗北
⑤工業部門の変化
ⅰ.賃金の上昇
・技術革新による労働生産性の向上
・労働者不足なども背景
ⅱ.春闘
・毎年3月、賃上げを求める労働運動
・総評の指導で定着
⑥農業部門の変化
ⅰ.所得の向上
・米価の引上げ政策(食糧管理制度、農協の圧力)
・農外所得の増加
ⅱ.農業基本法:1961年
・農業の近代化と構造改善をめざす
※労働者・農民の所得増加
⇒国内市場の増大と経済成長の好循環へ
⑦貿易
・大幅な貿易黒字が続く
※自由貿易体制、固定相場制による為替の安定、安価な資源の輸入などで輸出が急速に拡大
⑧日本の先進国入り
・1963年、GATT11条国に移行
・1964年、IMF8条国に移行
・1964年、OECD(経済協力開発機構)に加盟
・為替の自由化、資本の自由化を実施
⑨企業集団の形成(六大企業集団)
・三井・三菱・住友・富士・三和・第一勧銀の六大都市銀行が、系列企業への融資を通じて形成
3.大衆消費社会の誕
①地域間格差是正の取り組み
・太平洋ベルト地帯に産業と人口が集中
・1962年、新産業都市建設促進法公布、全国総合開発計画(閣議決定)
⇒地域間格差の是正を推進
※目立った効果なし
②人口の移動
ⅰ.農村:過疎化
・農村から大都市に人口が流出
・兼業農家の増加:第2種兼業農家が50%をこえる
・「三ちゃん農業」
ⅱ)都市部:過密化
・ニュータウンの建設
大阪:千里ニュータウン、泉北ニュータウン
東京:多摩ニュータウン
・核家族世帯の増加
③耐久消費財の普及
ⅰ.「三種の神器」:1950年代後半~
・白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫
※1953年、テレビ放送の開始
ⅱ.3C:1960年代後半~
・自動車、カラーテレビ、クーラー
※「新三種の神器」ともいう
④食生活の変化
・肉類・乳製品の消費が増加
・米の供給過剰
⇒1970年、減反政策の開始
⑤交通手段の発達
ⅰ.モータリゼーション
・マイカー(自家用乗用車)の普及に伴い、自動車が主要な交通手段になること
ⅱ.高速道路
・1965年、名神高速道路の全通
・1969年、東名高速道路の全通
ⅲ.東海道新幹線の開通:1964年
・東京オリンピック開幕の直前に開通
⑥生活様式の画一化
・中流意識の広まり
ⅰ.教育の大衆化:1970年
・高校進学率が8割を超える
・大学・短大進学率は約24%に
ⅱ.学園紛争:1968~69年
・学園の民主化を求める大規模な学生運動
⑦科学技術の発展
ⅰ.原子力発電所(原発)
・1960年代以降、建設が進む
・1973年の石油危機後本格化
ⅱ.ノーベル物理学賞の受賞
・1965年、朝永振一郎
・1973年、江崎玲於奈
⑧国家的イベントの開催
※日本の復興・経済発展を世界に示した
ⅰ.東京オリンピック:1964年
・アジアで初の開催
※1940年に開催が内定していたが、日本は開催権を返上
ⅱ.日本万国博覧会(大阪万博):1970年
・大阪で開催
4.高度成長のひずみ
①四大公害訴訟
※いずれも被害者側の勝訴
・水俣病(熊本県など)
・新潟水俣病(阿賀野川流域)
・イタイイタイ病(富山県神通川流域)
・四日市ぜんそく(三重県)
②公害の深刻化への対応
ⅰ.公害対策基本法:1967年
・公害の規制、事業者・国・地方公共団体の責任を明確化
ⅱ.環境庁の設置・1971年、
・2001年、環境省になる
③同和問題
ⅰ.部落解放全国委員会の結成:1946年
・全国水平社を継承
⇒1955年、部落解放同盟に改称
ⅱ.同和対策審議会の答申:1965年
⇒1969年、同和対策事業特別措置法の制定
④革新自治体の誕生
・1967年、美濃部亮吉が東京都知事に当選
※日本社会党・日本共産党の推薦
⇒その後、京都府・大阪府でも革新系知事が誕生
・福祉政策の推進:公害の規制、老人医療の無料化