2019(平成31)年4月のニュース・時事問題
●4月1日:新元号の発表
・午前11時40分ごろ、菅(すが)官房長官によって、5月1日から使用される新元号が発表されました。新しい元号は「令和(れいわ)」で、その典拠となったのは万葉集でした。国書(日本の書籍)から元号が選定されるのは初めてのことです。
補足解説
・令和の出典となったのは、万葉集の第5巻「梅花の歌(うめのはなのうた)」の序文部分です。
・引用文:「初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香」
・書き下し文:「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気(き)淑(よ)く風(かぜ)和(やわら)ぎ、梅(うめ)は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」
・日本最初の元号は西暦645年に定められた大化で、令和は248番目となります。
●4月9日:新紙幣の発表
・1万円札、5千円札、千円札の紙幣のデザインが変更されることが発表されました。
気になる新紙幣の肖像画は、1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎です。新しい紙幣は、5年後の2024年(令和6年)から発行されます。
なお、500円貨幣(500円玉)も新しくなります。こちらは2021年(令和3年)から発行されます。
補足解説
3人とも中学歴史・高校日本史に登場する人物です。
・渋沢栄一(1840~1931)は実業家。第一国立銀行、大阪紡績会社、理化学研究所など多くの会社・組織の設立に関わりました。その生涯を通して日本経済の近代化と発展に大きな役割を果たし、「日本資本主義の父」と呼ばれる人物です。
・津田梅子(1864~1929)は1871年に派遣された岩倉使節団に同行しました。派遣時の年齢は満6歳でした。帰国後は女子教育に力を注ぎ、女子英学塾(現在の津田塾大学)を設立しました。
・北里柴三郎(1852~1931)は細菌学者。ドイツに留学し破傷風の血清療法を発見しました。帰国後は、ペスト菌の発見、コレラの血清療法の発見などの成果をあげました。
●4月10日:ブラックホールの撮影
・イベント・ホライズン・テレスコープにより、ブラックホールの撮影に史上初めて成功しました。
・イベント・ホライズン・テレスコープとは、世界中の電波望遠鏡をつなぎ合わせることで、圧倒的な感度と解像度を持った地球サイズの仮想的な望遠鏡を作り上げるというプロジェクトのことです。
●4月15日:パリで火災
15日から16日にかけて、フランスのパリにあるノートルダム大聖堂(ノートルダム寺院)が、尖塔(せんとう)や屋根が崩落するなどの大規模な火事にみまわれました。
このノートルダム大聖堂は1163年に着工、約200年後の1345年に完成しました。1991年には、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
火災後、フランスのマクロン大統領は5年以内の再建を目標に掲げましたが、「5年では無理だ」といった批判的な意見もあります。
●4月19日:アイヌ新法
・北海道をおもな居住地としてきたアイヌ民族を法律で初めて「先住民族」と明記したアイヌ新法が成立しました。アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現などを目的としています。新聞の社説などでは、多文化共生社会の実現に向けての一歩となることを期待する記述も見られました。
補足解説
・アイヌに関連する法整備や政策では、明治時代の1899年、北海道旧土人保護法が制定されました。これは、アイヌ民族の保護を目的としたものでしたが、実際には日本人への同化政策が進められ、またアイヌの伝統文化を否定する内容でもありました。
・1997年、アイヌ民族として初の国会議員となった萱野茂(かやのしげる)の尽力もあり、アイヌ文化振興法が制定されました。アイヌ民族の伝統文化を振興し尊重することを目的とする法律で、北海道旧土人保護法は廃止されました。
・2008年には国会で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択されました。
アイヌ民族については、歴史のほか、公民の平等権でも登場します。
●4月21日:スリランカ同時爆発事件
スリランカの最大都市コロンボなど国内8か所で、同時多発的に爆発事件が発生し、外国人を含む250人以上が死亡、500人以上が負傷しました。爆発が起きたのはキリスト教の教会や高級ホテルなどで、スリランカ政府はこれらの爆発をテロと断定しました。この日はキリスト教のイースターであったため、教会には多くの人が礼拝に訪れていました。
●4月25日:はやぶさ2
・宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機はやぶさ2が小惑星りゅうぐう(リュウグウ)の表面に金属のかたまりをぶつけた地点に、人工クレーターができていることが確認されたことを発表しました。小惑星に人工クレーターが形成されたのは世界初のことです。
補足解説
小惑星とは、太陽系の火星と木星の間に多数存在する小さな天体のことです。惑星などと同様に、太陽の周りを公転しています。多くの小惑星は直径100kmほどで、最大の小惑星ケレスでも910kmと、月の約4分の1ほどです(とはいえ、ケレスより小さい衛星は多数あります)。