生物基礎:遺伝情報とDNA(概略)

1.遺伝子と遺伝情報

遺伝

形質(生物の形や性質などの特徴)が、親から子へ受け継がれること

 

ⅰ.遺伝子

・親から子へ受け継がれる形質の情報(遺伝情報)を伝えるもの

・親が子に似るのは、遺伝情報が受け継がれているから

 

ⅱ.DNA(デオキシリボ核酸)

・遺伝子の本体。遺伝情報を担っている分子

DNA遺伝子が含まれている

 

②DNAの伝達

ⅰ.同じ生物

細胞分裂により、母細胞から娘細胞へと受け継がれる

 

ⅱ.遺伝(親から子)

生殖細胞(卵・精子などの配偶子)により、親から子へと受け継がれる

 

③DNAのある場所

ⅰ.真核生物

・細胞のの中にある染色体に含まれている

DNA染色体の成分(DNAが染色体を形成している)

 

ⅱ.原核生物

細胞質基質の中にある


2.DNAの構造

ヌクレオチド

・DNAの構成単位

リン酸塩基からなる

 ※デオキシリボースをもつ

 

塩基の種類

アデニン(A)

チミン(T)

グアニン(G)

シトシン(C)

ヌクレオチドも4種類ある

 

↓ヌクレオチド

 

②ヌクレオチドとDNAの構造

ⅰ.ヌクレオチド鎖

 ※読み方:ヌクレオチドさ

ヌクレオチドがたくさんつながったもの 

 

 

↓ヌクレオチド鎖

 

ⅱ.二重らせん構造

・対になる2本のヌクレオチド鎖の塩基どうしが結合

⇒DNAは二重らせん構造をつくっている

 

ⅲ.塩基対

・向かい合って結合している2つの塩基のこと

・A,T,G,Cの4種類の塩基が1対1で塩基対を作っている

 

↓ヌクレオチド鎖の結合と塩基対 

 

ⅳ.相補性

・ヌクレオチドの塩基は互いに結合する種類が決まっている

(アデニン)(チミン)

(グアニン)(シトシン)

 

ⅴ.塩基配列

・DNAの一方の鎖にある4種類の塩基の並びのこと

例:上図の左側のヌクレオチド鎖のAGCT

 ※相補性により、片方のヌクレオチド鎖の塩基配列が決まると、もう一方の塩基配列もTCGAと自動的に決まる


3.DNAとゲノム 

相同染色体

・1個の細胞には大きさと形が同じ染色体が2本ずつあり、その対になる染色体のこと

・ヒトの場合、それぞれ父と母から1本ずつ受け継いでいる

 

ゲノム

相同染色体の1組に含まれる全ての遺伝情報

 ※ヒトの場合、23本

⇒体細胞には、2組(ヒトなら46本)のゲノムがある

 

③ヒトゲノム

・ヒトの1つの体細胞には46本のDNAが入っている

 ※卵と精子に含まれていた23本ずつが受精で一緒になったもの

・1組(23本)のゲノムに約30億の塩基対、約20000個の遺伝子を含む

※全ての塩基配列が遺伝子としてはたらいているわけではない


補足解説

遺伝子が設計図で、遺伝子が集まったものがDNA。DNAを収めているのが染色体

※遺伝子:1枚1枚のページ

 DNA:1冊の本

 染色体:本を箱に収めた状態

 

・生物の種類によって、DNAの本数や長さ、塩基配列が異なる。同じ生物の親子であっても全く同じではないが、他の種類の生物に比べれば違いはとても小さい。


 

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