公民4-5② 市場で決まらない価格 解説

需要と供給で決まらない価格

価格は需要と供給の関係で常に変動するわけですが、なかには、需要と供給では決まらない価格もあります。


1.独占価格

独占価格とは、1つまたは少数の企業が一方的に決める価格です。企業間の価格競争が弱まり、需要が少なくても価格は下がりにくく、価格が高い状態で固定化されやすくなります。競争相手がほとんどいないので、売り手は強気に「高くて嫌なら買うな」と言えるわけですね。消費者は、他に選択肢もないため、高くても買わざるをえません。つまり、独占価格は、消費者にとって不利になりやすいということです。

 

なお、独占とは1つまたは少数の企業が市場を支配している状態のことをいい、寡占とは少数の企業が市場を支配している状態のことをいいます。

 

消費者が不利益を受けることを防ぐために、独占禁止法という法律が制定されています。これは、市場での不公正な取引を防止し、健全な競争をうながすための法律です。公正取引委員会という機関が独占禁止法を運用し、不公正な取引がないか企業や市場を監視しています。

 

独占禁止法で禁止されている具体的な例として、カルテルがあります。カルテルとは、同業の企業が価格や生産量などについて協定を結び、競争を避けることです。企業がともだおれを避けて利益を確保するため、口裏を合わせて競争をしないということですね。これは消費者の不利益になるため、禁止されています。


2.公共料金

電気・ガス・水道料金鉄道運賃・乗合バス運賃郵便料金などは、国民生活に与える影響が大きいため、需要と供給に関係なく、国や地方公共団体が価格を管理しています。水道などのように、公企業が運営している場合も少なくありません。これらは価格が大きく変動することはありません。


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●4-1① 3つの経済主体
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●4-1② 家計
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●4-2① 消費者の権利
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●4-2② 流通
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●4-3 企業の活動
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●4-4 労働者の権利
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●4-5① 市場経済、需要と供給
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●4-5② 市場で決まらない価格
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●4-6① 金融と銀行
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●4-6② 中央銀行のはたらき
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●4-7① 財政
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●4-7② 税金
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●4-8① 景気の変動
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●4-8② 景気対策
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●4-9① 社会保障制度1
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●4-9② 社会保障制度2
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●4-10 公害と環境問題
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●4-11 為替相場と経済のグローバル化
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