公民3-4 国会2 解説

1.国会の仕事・権限

 国会は衆議院と参議院の二院制で、法律の制定や条約の承認などで審議を進める際には、どちらの議院が先でもかまいません。それぞれの議院で同じ手続きをとって、法律の成立、条約の承認、となります。

 

①法律の制定([立法])

国会のもっとも大切な仕事が法律の制定です。法律案を提出できるのは、国会議員か内閣です。提出先は、衆議院または参議院の議長で、どちらの議院が先でもかまいません。

提出された法律案は、先議の議院(先に審議する議院)において、まず、議員が少人数で分かれて所属する[委員会]で審議されます。十分な審議の後、多数決を行い出席議員の過半数の議員の賛成が得られたら、審議の場は[本会議]へ移ります。反対の方が多ければ、廃案となります。

法律案が委員会を通過したら、次は議員全員が出席する[本会議]です。ここでも出席議員の過半数の議員の賛成が必要です。

 

こうして先議の議院で[委員会]→[本会議]の順番で法律案が通過したら、今度はもう片方の議院で同様の手続きを経ることになります。成立した法律は、天皇の国事行為として公布されます。

 

 

②予算の審議・議決

内閣が作成した予算(案)を審議・議決するのも、国会の仕事です。予算に関してのみ、[衆議院]から先に審議することになっています。

 

③内閣が結んだ[条約]を承認すること

外国と[条約]を結ぶのは内閣の仕事、それを承認するのは国会の仕事となります。

 

④[内閣総理大臣]の指名

国会は、国会議員の中から[内閣総理大臣]を指名します。衆議院で最も多い数の議員がいる政党の党首が指名されることが一般的です。

 

 

⑤[憲法改正]の発議

衆議院・参議院のそれぞれにおいて、国会議員の総議員の3分の2以上の賛成が必要です。「出席議員」ではなく、「総議員」(すべての議員)であることに注意しましょう。

 

 

⑥[国政調査]権

政治が正しく行われているか調査する権限です。証人を呼んで質疑応答などを行う証人喚問が行わることもあります。

 

⑦[弾劾裁判

国会に設置された[弾劾(だんがい)裁判所]において、国会議員が、不適任と思われる裁判官を辞めさせるかどうか判断します。

 

 

2.[衆議院]の優越

衆議院と参議院がたがいに反対の議決をしていると、いつまでもものごとが決まらなくなってしまします。そこで、国会のいくつかの仕事においては、参議院より衆議院の議決を優先させる[衆議院の優越]がとられています。

参議院より衆議院の議決が優越する理由は、「衆議院は参議院に比べて任期が短く、解散もあるため、国民の世論をより強く反映していると考えられるから。」です。文章記述問題に対応できるようにしておきましょう。

この記述問題で具体的な数字を示すことが求められた場合や、字数制限がもっと多い場合には、次のような模範解答となります。

「衆議院は任期が4年で参議院の6年より短く、解散もあるため選挙の機会が多いこと、また、定数も衆議院は475名で参議院の242名より多いため、国民の世論をより強く反映していると考えられるから。」

 

さて、衆議院の優越が適用されるのは、1.で見た①~⑦の仕事のうち、①~④です。⑤~⑦は衆議院の優越はありません(衆参対等)。また、①~⑦とは別に、衆議院にのみ認められている権限⑧⑨がありますので、それもここで確認しておきます。

 

①法律案の議決

衆議院が可決し参議院が否決した場合、あるいは、衆議院が先に可決し、参議院がその法律案を受け取って60日以内に議決しない場合は、もう1度衆議院で議決します。2回目の議決では衆議院が[出席議員]の[3分の2以上]の多数の賛成で再可決すれば、法律案は成立します。1回目は過半数でよかったのですが、2回目はハードルが上がります。

 

 

②予算の議決

③条約の承認

④内閣総理大臣の指名

②③④とも、衆議院と参議院で議決・指名が異なった場合は、両議院の議員で構成される[両院協議会]で話し合われます。その話し合いでも意見が一致しないときは、衆議院]の議決を国会の議決とする、と憲法で規定されています。

 

あるいは、衆議院が先に議決・指名したあと、参議院が③④は30日以内に議決しない、⑤は10日以内に指名しない場合は、衆議院の議決を国会の議決とすることになっています。つまり、衆議院の議決・指名がそのまま通るということです。衆議院で再議決はしないし、両院協議会も開かれません。

 

 

なぜ、同じ「衆議院の優越」でも、①~④でこのように規定が異なるのでしょうか。考え方としては、

①法律については、法律は国民生活に与える影響が大きいため、慎重に審議する必要があるからです。例えば、消費税の税率も法律で決まっています。

 

②予算と③条約は全く同じですが、⑤総理大臣の指名は少し違いますね。②③は30日まで待ちますが、⑤は10日しか待ちません。これは、早く内閣総理大臣を決めないと政治が停滞して進まないから、と考えられます。

 

 

衆議院のみに認められている権限

次の⑧⑨は、衆議院のみに認められている権限です。これらも、衆議院の優越に数えられます。

 

予算]の先議権

予算については、衆議院が参議院より先に審議できることが憲法で規定されています。(さらに②で見たような優越事項もあります)

 

内閣不信任]の決議

内閣不信任案を提出できるのは衆議院のみです。不信任案が可決された場合、内閣は10日以内に総辞職するか、衆議院を解散しなければならないこととなっています。